漢方ソムリエの温故知煎

2018.10.25

ご相談症例-4

50代女性 肩こり、胸の筋肉のつっぱり

主な症状

肩こり、痛み、胸の筋肉のつっぱりがあり、重いものを持つとさらに悪化した。
テルネリンやデパスを服用した時は症状は緩和するが、日中の眠気があり、継続しての服用は困難だった。

処   方

葛根湯
葛根湯は首の後ろがこわばりや頭痛があったり、汗の出ない方の初期の風邪に使うことで有名な漢方薬ですが、実は肩こりに用いることもとても多いんです。
対症療法の西洋薬とは違ったアプロ―チで、「気」や「血(けつ)」のめぐりを良くすることで、冷えている箇所を温め、胸から上の凝った筋肉をほぐしていきます。凝った時だけ頓服的に使われることもあります。

煎じ薬服用後

最初に飲んだ後、30分〜1時間程で効果が出始め、痛みが治まってきたような感じがした。こりは忘れるぐらいで、さわってもあまり感じなくなった。筋肉のつっぱる感じもなくなった。
葛根湯は、服用しても眠くなることはなく、副作用なく継続して服用することができている。今は、症状があるときに1日2回程服用している。2日程で症状が気にならなくなったので、自分に合っていると感じている。

※葛根湯が合う証は、体力のある方です。比較的体力のない方には向きませんので別の漢方を用います。
肩こりでわざわざ病院には行かないという方は多いのですが、筋肉のこりが楽になることでその方のQOLはぐっと上がります。


2018.10.22

なかなか治らない風邪のあとの咳

夜中に咳込む人

朝晩が冷え込み、昼間との寒暖の差が激しくなってきました。風邪も流行しつつあります。この時期、風邪のあとに咳が続いてなかなか治らないという方が多くいらっしゃいます。
そんな時にお勧めなのがこちらの漢方です。麦門冬湯(ばくもんどうとう)
麦門冬湯は、気道の粘膜が乾燥してむずむずしたり、痰(たん)の少ない咳がこみ上げてくるような症状によく用いられ、布団に入って身体が温まると咳込むような場合には効果的です。
夜中にお子さんが咳こみだすと、お母さんもいっしょになって夜も眠れません。コンコンと奥にこもった咳をして寝付けなかったり、夜中や早朝に苦しそうに目覚めたり…。
また、シーンとした会議中や映画館などで、こみ上げてくる咳を無理して抑えてツラい思いをしたり…。
このような症状の出る方は、実は根本に胃腸の機能がうまく働いていない(胃の中の水分をうまく補充できない)ことが多く、そちらを改善しなければなりません。
麦門冬湯の構成生薬の大棗(たいそう)、人参、甘草、粳米(こうべい)には胃腸を補う作用が、半夏(はんげ)には、下からつき上げる気を鎮める作用があるんですね。 主薬の麦門冬はユリ科の植物の根っこです。粘り気のある痰を切り、乾燥気味ののどを潤す働きがあり、咳が出て顔が赤くなるくらいの咳を鎮めます。
このように麦門冬湯は、肺や気管支や胃のお薬といってもよさそうです。
体力が中程度かそれ以下の人に向いています。また、麦門冬には血糖の降下作用も報告されています。
ぜひ一度お試しください。漢方選びに迷われましたら、メールやLINEでのご相談も随時受け付けております。



2018.10.18

鼻炎と水毒

鼻炎の女性

秋の花粉は草本(そうほん)花粉といわれています。
イネ科やキク科、ブタクサ属などのような背の低い雑草の花粉のことです。
スギやヒノキと同様に鼻水、くしゃみ、目のかゆみを引き起こします。また、皮膚のかゆみに発展することまであります。
さて、漢方では、花粉症などの鼻炎症状のある人を「水毒がある」と捉えます。
水毒とはすなわち、水の異常です。所見としてはたとえば、胃のあたりを押さえたりゆすったりすると、ピチャピチャと水の音がする場合は、水毒があることの所見です。このを胃内停水(いないていすい)と呼びます。
この場合のお勧めの漢方薬は小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。
小青竜湯の「青竜」とは、中国で言うと神話の守護神のことです。これは構成生薬の「マオウ」の青色にちなんで、この名前になったそうです。身体を温めて、呼吸器や鼻水、鼻づまり、咳、痰などを改善してくれます。体力は中程度の方にお勧めです。小児ではそこまで問題になることはないですが、まれに大人で動悸や眠れないなどの交感神経興奮症状がでることがあります。これは、含有生薬の「マオウ」によるものです。その場合は服用回数を減らすなどの対策をとると、症状も抑えることができますのでご安心ください。



2018.10.12

ご相談症例-3

10代女児 起立性調節障害(OD)

主な症状

(お母さまからのご相談)
一年ほど前から全身がだるくて重い。頭が重く、寝つきが悪い上、朝起きられないことも多くなり、つらくて登校できない日もあった。朝礼で倒れ、病院にて起立性調節障害と診断、水分や塩分を摂る、生活リズムを整えるなどしていたが、あまり改善しない。気力がなくなり、イライラすることも多くなった。立ちくらみもよく起こる。お腹あたりがドクドクと脈うつ感じになる。いつも午前中は調子が悪いが、午後からは良くなってくる。
痩せ型、顔色や皮膚の調子は良い。体質は胃腸が弱く、風邪もひきやすい。喉が渇きやすく、おしっこも少ない。乗り物酔いもしやすい。足が冷える。舌が白い(舌白苔)。
中枢神経系や内耳の疾患はなく、血液検査も問題ない。

処   方

起立性調節障害は10歳以上の方に多い疾患です。症状などからも水毒や水滞といわれる状態で、体内の水の流れが滞ったり、余ったり、バランスが悪いために起こると考えられます。
水毒を改善する漢方の選択肢はいろいろありますが、患者さまの体質や健康状態を考え、「お腹あたりがドクドクと脈うつ感じ」=【動悸】というところから、苓姜朮甘湯をご提案しました。
構成生薬の茯苓(ぶくりょう)には、体内の余分な水分を排せつさせたり、胃腸を整えたり、精神をおだやかにする働きがあり、白朮(びゃくじゅつ)にも水分バランスを正常化させたり消化機能を高める働きが、桂皮(けいひ)には、「気」の巡りを整えたり、のぼせや動悸などの気の高ぶりを抑制したり、身体をあたためたりする働きがあります。
こういった水毒/水滞になりやすい体質を漢方薬で治療していくと、倦怠感、冷え、頭重、立ちくらみ、乗り物酔いも起こりにくくなるはずです。

煎じ薬服用後

10日ほど飲み続けたところで、頭が重い感じがなくなってきたようで、朝起きることが苦痛にならなくなってきた。立ちくらみも徐々に減ってきたように感じる。
煎じ薬は飲みやすくはないけれど、少し抵抗がなくなってきた。一カ月続けているが、動悸も起こらなくなってきて、ずいぶん調子が戻ってきてうれしい。下痢はたまにするため、胃腸の調子はよくなってきたとは言えないが、他がずいぶん改善したので、このままがんばって一年くらい続けてみようと思う。


2018.10.5

ご相談症例-2

40代男性 夏バテ、胃もたれ

主な症状

夏バテの様な感じでいつもダルく、朝起きられなかったり、食欲もなく、胃もたれや不快感があった。食欲は暑さの影響だと思ったので、胃の調子だけでもよくしたくて継続して飲みやすい漢方薬を探していた。

処   方

補中益気湯」をご購入くださいました。
このような気力がわかず、なかなか疲れがとれない、食欲不振、胃腸の不調のある方にはもってこいの漢方薬なんです。
消化機能を高め、「気」の生成を増す(わかりにくいかもしれませんが)ことにより体力を回復させる作用や免疫機能を高める人参(にんじん)、「血」(けつ)の不足を補い、巡りを改善する当帰(とうき)、消化機能を整える生姜(しょうきょう)や陳皮(ちんぴ)、水分代謝を良くする白朮(びゃくじゅつ)、胃腸の機能を整えたり、精神を安定させる大棗(たいそう)、強壮作用や滋養作用のある黄耆(おうぎ)などの生薬で構成されており、気力を回復させ、病気に対する抵抗力を高めたりします。

煎じ薬服用後

飲み始めて一週間くらいするとだんだんと食べられるようになってきて、元気になってきた。胃に負担がかかりそうな脂っぽいものも食べていたけど、胃の不快感は気にならなかった。 体力がもどってきたので食欲もさらに出て助かった。


2018.10.1

ご相談症例-1

30代女性 肩こり、頭痛

主な症状

30代後半になり、毎日のように夕方になるにつれ、首から肩にかけてのコリと頭痛が起こる。
頭痛の時はロキソニンを飲めば治るが、毎回薬で痛みを止めることに抵抗があった。
肩こりも肩甲骨のストレッチをしてみたり、マッサージに通ってみてもその時はなんとなく軽くなるような感じもするが、すぐに戻ってしまう。

処   方

比較的体力もある方で、とくにうなじのこわばりが強いご様子でした。メールにて聞き取りの結果、葛根湯をご提案させていただきました。
葛根湯の構成生薬の葛根(かっこん)には、うなじや背中の筋肉の緊張をほぐしてやわらげる作用があり、甘草(かんぞう)にも筋肉の緊張を緩める働きがあります。芍薬(しゃくやく)や桂皮(けいひ)は血行を促進させ、体を温める働きがあります。

煎じ薬服用後

漢方薬は昔飲んだことはあったが、煎じ薬は初めて。葛根湯を煎じて飲み始めてからわりと早く効果を実感した。
首や肩のこわばりがなくなり軽くなるにつれて、頭痛も起きなくなってきた。


2018.9.20

"酔い"によく効く漢方薬

二日酔いの白衣の男性

今日はフレッシュな薬学生の漢保 煎二(かんぽう せんじ)くんといっしょに普段の会話から、漢方煎じ薬の勉強を進めていきたいと思います。

煎二くん「森先生、昨日、日進市の花火大会で、飲みすぎちゃいましたよ〜。気持ち悪い…おぇ〜…二日酔いに効く漢方ってなにかありませんか?」

「そうか、お祭りだったんだね。でも、いくら楽しくても実習の前の日に飲みすぎてはいけないよ。勉強に支障がでるからね。
でも煎二くん、とってもいい漢方薬があるよ。五苓散(ごれいさん)っていうんだ。
お酒を飲むとアルコールが分解されてアセトアルデヒドという物質がでてくるのは知ってるよね? このアセトアルデヒドが吐き気や頭痛などと言った二日酔いの原因になるんだ。
でも、この五苓散という漢方薬を飲むと二日酔いの原因のアセトアルデヒドを尿として体外へ出してくれるのを助けてくれるんだ。しかも、多くの漢方薬はゆっくり効果を発揮するのに対し、五苓散の二日酔いに対する作用は即効性がある。二日酔いを改善するのに数週間も待てないよね(笑) それに、二日酔いだけではなく、乗りもの酔いにも効果があるんだ。」

煎二くん「乗りもの酔いにも効果があるんですね!でも、気持ち悪くなる原因は違いますよね?なのに効くんですか?」

「そうなんだ、乗りもの酔いは耳の内耳という部分の三半規管や前庭という場所が乗り物に揺られることで、自律神経や平衡感覚を乱して次第に気分を悪くして吐き気や嘔吐という症状が出てくる。同じ"酔い"でも、お酒に酔ったときはアルコールで脳の働きが狂って起こり、お酒を飲んでしばらくしたときの"二日酔い"は、アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドのせいで起こり、乗りもの酔いについては自律神経系の乱れで起こるわけだから、原因は違うよね。ただ、乗りもの酔いを起こす人はベースに水滞傾向にある人だということがわかっているんだ。」

煎二くん「水滞って、なんですか?」

「水滞は、水が滞ること。水は血液以外の身体の中の水分のことで、身体の中で本来適切な場所にあって、流れていかないといけない水分が停滞しているって意味なんだよ。それを五苓散が改善し正常にすることで、乗りもの酔いも予防できるってわけなんだ。」

煎二くん「そうなんですね、わかりました。では、早速飲ませていただきます!」

…というわけで、五苓散のコラムが連続しましたが、即効性の期待できる漢方薬です。二日酔いや乗りもの酔いでお悩みの方はぜひ一度お試しいただけたらと思います。



2018.9.11

低気圧で起こる頭痛

頭痛の女性

9月に入り、このところは台風も次々と発生し、秋雨前線の影響で雨の多いお天気が続いていますね。 この時期によくご相談を受けるのが、頭痛にお悩みの方です。
「低気圧で頭痛が起きる」、よく耳にする言葉です。
雨降りなど湿度の高い環境にいると、汗がうまく出せず、余分な水分を出して体内の水をコントロールすることがうまくいかなくなり、頭痛を引き起こすというのが原因のひとつといわれています。
身体の不調をもたらす湿気を、東洋医学では「湿邪」といいます。
体内に湿邪がたまるのは、もともと胃腸の弱い方に多くみられるようで、飲んだ水が胃の中でチャプチャプと鳴ることも。不調は頭痛だけでなく、頭重、めまい、悪心、吐き気などの症状が表れやすくなります。
こういった頭痛は、西洋医学では対症療法しかありませんが、漢方では身体の中の「水」の巡りを改善し、余分な水分を排出させることで、気圧や湿度の変化による頭痛が起こらないよう導きます。 代表的なのは五苓散(ごれいさん)
利尿作用のある4つの生薬「沢瀉、茯苓、猪苓、白朮」が使われており、水分の循環を良くして無駄な水分を排出するだけでなく、偏った水分バランスを整える作用もあります。
「虚実」の「証(しょう)」も「虚実間証(きょじつかんしょう)」を中心に比較的広く用いられるお薬のため、体質をあまり選ばず、多くの方に飲んでいただける漢方薬です。
「五苓散は雨の前に悪化する頭痛の約90%に有効である。」といった論文もあるほどです。



   

   <<Back          ---    Next>>  

Net OLiVEオリーブ薬局ネット支店


ご相談やお問合せは
無料ですマウス
森から返信させていただきます

LINEからも直接森にご相談いただけます
友だち追加


送料

QRコード
QRコードを読み取ると携帯サイトが閲覧できます



Facebook
instagram