からだの痛みと漢方
杖を取り去る煎じ薬
とつぜんですが、吉本新喜劇の劇場で一番多い忘れ物は何かご存じでしょうか?答えは「杖」なんだそうです。
つまり、たくさん笑って元気になるから、帰りには杖がなくてもそのまま歩いて帰ってしまう。
そんなわけで「笑い」にはこのように素晴らしい効果があります。
ところで漢方薬でも「杖が要らなくなる」漢方があるのです。
それは、「芍薬甘草湯」。足腰の筋肉や関節の痛み、こむら返りに効果がある漢方薬です。
通称、「去杖湯」すなわち『杖を取り去る煎じ薬』。
通常筋肉や関節に効く痛み止めは、胃腸の痛みには効果がないのが薬の常識ですが、この芍薬甘草湯は、胃痛、腹痛にもしっかり効くので驚きです。
芍薬甘草湯
漢方で「芍薬(シャクヤク)」は、筋肉の緊張やけいれんをやわらげ、痛みを鎮める目的で用いられる生薬です。
足がつる、筋肉がこわばって痛む、お腹がけいれんするように痛むといった症状にも、芍薬を含む漢方薬が使われています。
そのシャクヤクが配合されている代表的な漢方薬が芍薬甘草湯です。
芍薬甘草湯は「芍薬」と「甘草(カンゾウ)」という、わずか2種類の生薬からなるシンプルな処方です。
特に「夜中に突然足がつる」「ふくらはぎが痛くて目が覚める」といったこむら返りに使われる漢方薬としてよく知られています。
芍薬甘草湯の大きな特徴は、比較的即効性が期待できること。
漢方薬というと「しばらく飲み続けて体質を整える」というイメージを持つ方も多いと思いますが、芍薬甘草湯は急に起こった筋肉のけいれんや痛みに対して、その時に服用する使い方もされる漢方薬です。
実際に、服用して比較的早く「足のつりが楽になった」と感じる方もいらっしゃいます。
そして、芍薬甘草湯はこむら返りだけの漢方薬ではありません。
筋肉の急激なけいれんを伴う痛みに用いられるため、足がつる症状のほか、筋肉のけいれんや腹痛、腰痛などにも使われます。
「こむら返りの薬」というイメージが強い芍薬甘草湯ですが、さまざまな部位のけいれんや、それに伴う痛みに応用できる漢方薬なんです。
ただし、芍薬甘草湯に含まれる甘草は、長期間の服用や他の甘草を含む漢方薬との併用には注意が必要です。
むくみや血圧上昇、低カリウム血症などが起こることがあるため、何度も足がつるからと自己判断で長く飲み続けるのではなく、繰り返す場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
足のつりやこむら返り、筋肉のけいれんによる痛みでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
ひざの痛みと水分代謝
整形外科に通う患者さんに多い症状のひとつが「痛み」です。その中でも特に多いのが、膝の痛み。
年齢とともに膝の軟骨がすり減ったり、関節に水が溜まったりすることで、「歩くと痛い」「階段の上り下りがつらい」「膝が腫れて曲げにくい」と悩んでいる方は少なくありません。
そんな膝の痛みや腫れ、膝に水が溜まりやすい方に処方されることがある漢方薬が、防已黄耆湯です。
防已黄耆湯は、漢方でいう体に余分な水分が溜まりやすいタイプに用いられる処方です。
むくみやすい、汗をかきやすい、体が重だるい、水太りしやすいといった方で、膝の腫れや痛みを伴う場合に選ばれることがあります。
実際に防已黄耆湯を服用された患者さんからは、「飲み始めてから尿の回数が増え、膝の腫れが気にならなくなってきた」「膝に溜まっていた水が減ってきて、歩くのが楽になった」「むくみが軽くなり、体も少し軽く感じるようになった」などのお話を伺うことがあります。
効果の現れ方には個人差がありますが、当薬局では服用を始めて1週間ほどから1か月程度の間に、むくみや膝の状態に変化を感じる方もいらっしゃいます。
防已黄耆湯は、体内の余分な水分の偏りを整えることで、膝の腫れや痛み、むくみ、水太りなどの改善に用いられる漢方薬です。
「膝に水が溜まりやすい」「足がむくむ」「体が重く感じる」「水太りが気になる」といった症状が重なっている方には、体質に合えばよい選択肢になることがあります。
膝の痛みやむくみ、水太りでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
同じ膝の痛みでも原因や体質によって適する漢方薬は異なりますので、ご自身の症状に合った漢方薬を選ぶことが大切です。
















