漢方ソムリエのうんちくコラム 
毎日の食卓に欠かせない卵、この卵が漢方薬になるってご存知ですか?
『黄連阿膠湯』という漢方薬は漢方の中では珍しく「卵黄」を加えて完成するという漢方薬です。のぼせやイライラで眠れない方に効果的。漢方の古典医学書「傷寒論」にも乗っている古くから使われている漢方薬です。
イライラ、のぼせ、頭痛やめまいなどの上半身のトラブルが起こりやすい方、この状態は頭から湯気が出ているようなものなので、うまくクールダウンさせることが必要です。
『黄連阿膠湯』には、黄連・オウゴン・芍薬(シャクヤク)・阿膠(アキョウ)といった生薬が配合され、最後に卵黄を加えて飲んでいただきます。
黄連、オウゴンはイライラを冷まし、芍薬や阿膠は血を補い、体を潤してクールダウンさせる働きがあります。卵黄は、体を滋養させて、潤し、体の熱をとります。
これら5つの成分が働き、体内の熱を調整し、イライラやのぼせ、不眠や焦燥感を改善して、眠りを良質なものにしてくれます。
阿膠はロバの皮から作られる珍しい生薬で、山東省の東阿のものが良品とされることに由来してこの名前がついたとされており、止血作用や婦人科系の生理不順などの不定愁訴に効果があります。生理前後のイライラからくる不眠などにも効果的ですので、ぜひ一度お試しください。
また、この漢方薬は皮膚の疾患にも活用されています。かゆみがありカサカサした湿疹は、血が不足して潤い不足の状態です。阿膠は血を補い皮ふを潤し、肌をなめらかにする働きに優れており、その他の成分が相互に働き、症状を改善していきます。
気候を始め、環境の変化が大きいと、知らず知らずのうちに不調を抱えがち。時には漢方の知恵を参考にしつつ、心身のバランスをとっていきましょう。