花粉症・アレルギー性鼻炎と漢方
花粉症の漢方と食事対策
花粉が飛散する時期になると、「鼻水が止まらない」「くしゃみを繰り返す」「鼻が詰まってつらい」といった花粉症の症状に悩まされる方が増えてきます。
花粉をできるだけ避けることが基本ですが、症状や体質に合わせて漢方薬を取り入れることも選択肢の一つです。
漢方では、同じ花粉症でも「水のような鼻水が出るのか」「鼻づまりが強いのか」など、症状の違いをみながら漢方薬を選びます。
特に、サラサラとした鼻水が大量に出る状態は、漢方でいう「水毒(すいどく)」や「水滞(すいたい)」、つまり身体の「水」の巡りが乱れた状態として考えることがあります。
■水のような鼻水やくしゃみが止まらないタイプ
透明でサラサラとした鼻水がたくさん出る、くしゃみを繰り返すといった花粉症には、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)がよく用いられます。
小青竜湯は、体力が中等度またはやや虚弱で、うすい水様の鼻水が出る方の鼻炎、アレルギー性鼻炎、花粉症などに用いられる漢方薬です。漢方では、身体を温めながら余分な「水」の偏りを整える処方として考えられています。
■鼻水よりも鼻づまりがつらいタイプ
「鼻水よりも、とにかく鼻が詰まって息苦しい」という方には、症状や体質によって葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)が用いられることがあります。
葛根湯加川芎辛夷は、比較的体力がある方の鼻づまり、慢性鼻炎、副鼻腔炎などに使われる漢方薬です。「辛夷(しんい)」はモクレン科植物のつぼみを用いた生薬で、鼻づまりを伴う症状に古くから使われています。
このように、花粉症だからといって同じ漢方薬を選ぶわけではありません。
サラサラした鼻水やくしゃみが中心なのか、鼻づまりが中心なのかによって、選択する漢方は変わります。
また、花粉症の時期を少しでも快適に過ごすためには、薬だけでなく日々の体調管理も大切です。
睡眠不足や疲労が続かないようにし、食べ過ぎや飲み過ぎを避け、バランスのよい食事を心がけましょう。冷たい飲み物や食べ物を摂ると胃腸の調子を崩しやすい方は、摂り過ぎにも注意してください。
花粉症の症状は人によってさまざまです。
「鼻水が止まらない」「鼻づまりが特につらい」「どの漢方を選んだらよいのか分からない」という場合には、症状や体質に合った漢方を選ぶことが大切です。お気軽に薬剤師へご相談ください。
秋の鼻炎と水毒|小青竜湯で対策
秋の花粉症は、ブタクサやヨモギなどの「草本(そうほん)花粉」が原因となって起こります。
スギやヒノキの花粉症と同じように、鼻水やくしゃみ、鼻づまり、目のかゆみなどの症状がみられ、皮膚のかゆみなどを伴うこともあります。
漢方では、サラサラとした鼻水がたくさん出る状態を、体内の「水」の巡りが乱れた「水毒(すいどく)」や「水滞(すいたい)」として考えることがあります。
身体に余分な水分が偏ることで、鼻水やくしゃみなどの症状につながっていると考えるのです。
水の偏りを考える際の目安の一つに「胃内停水(いないていすい)」があります。
胃のあたりを軽く揺らしたときなどに「チャプチャプ」と水が動くような音を感じる状態で、漢方では胃に余分な水分が停滞しているサインの一つとして考えます。
このような水のようにサラサラした鼻水や、くしゃみを繰り返す鼻炎に用いられる代表的な漢方が、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)です。
小青竜湯は、漢方では身体を温めながら余分な「水」の偏りを整える処方として考えられています。
小青竜湯は、体力が中等度またはやや虚弱で、うすい水様の鼻水がみられる方の鼻炎、アレルギー性鼻炎、花粉症などに用いられます。
鼻水だけでなく、くしゃみ、鼻づまり、咳や痰などを伴う場合にも使われる漢方薬です。
また、小青竜湯には一般的な抗ヒスタミン薬のような眠気を起こす成分は含まれていません。
「花粉症の薬を飲むと眠気が気になる」という方にとって、選択肢の一つになることがあります。
ただし、小青竜湯には「麻黄(マオウ)」という生薬が含まれているため、体質や持病によっては動悸、不眠、発汗などがみられることがあります。
高血圧、心臓病、甲状腺機能障害などがある方や、他のお薬を服用している方は、服用前に医師や薬剤師へご相談ください。
秋の花粉症といっても、サラサラした鼻水が中心の方、鼻づまりが強い方など症状はさまざまです。
漢方では症状だけでなく、その方の体質もみながら処方を選びます。秋になると鼻水やくしゃみを繰り返す方は、自分に合った漢方を選ぶことが大切です。
アレルギー性鼻炎の漢方薬|仕事の効率を下げないためのタイプ別対策
ある経済誌の調査によると、仕事の生産性を大きく引き下げる要因として「アレルギー性鼻炎」が注目されています。
メンタル不調や心臓・呼吸器のトラブルに次ぎ、鼻炎は業務効率を約4%も低下させると言われています。
一見数値は低く見えますが、罹患率の高さから考えれば、花粉シーズンは社会全体で最も大きな経済損失を招いていると言っても過言ではありません。
ボーッとする頭、止まらない鼻水は、単なる体調不良を超えて「ビジネスのリスク」なのです。
つらい症状を根本から整えるためには、自分の症状に合った漢方薬を正しく選ぶ「鑑別(かんべつ)」が重要です。
今回は、アレルギー性鼻炎に効果を発揮する代表的な煎じ薬の使い分けをご紹介します。
1. 熱っぽさや頭痛を伴う初期の鼻炎に
葛根湯(カッコントウ)
風邪の引き始めだけでなく、炎症を伴う鼻炎にも有効です。体を温め、首筋や肩のこりを伴う症状を和らげます。
2. 水のような鼻水や透明な痰が続くときに
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
体内の余分な水分「水毒」を排出し、鼻の蛇口を閉めるように症状を抑えます。眠くなる成分を含まないのも大きな利点です。
3. 鼻づまりがひどく、粘膜が赤く腫れている状態に
葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)
慢性的な鼻づまりに強く、鼻の特効薬と言われる生薬「辛夷(しんい)」が、塞がった鼻の通りをスッキリと改善します。
4. 鼻に熱感があり、膿のような鼻水が喉に落ちる場合に
辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)
鼻の奥に熱がこもっているタイプに適しています。辛夷(しんい)が鼻を通し、他の生薬が炎症を鎮めて粘り気のある鼻水を抑えます。
3と4に配合されている「辛夷(しんい)」は、鼻の疾患における守護神のような存在です。
また、4以外の処方には体を温める「麻黄(まおう)」が含まれています。
胃腸が極端に弱い方や、ひどく体力が落ちている方は服用に注意が必要ですので、専門家へご相談ください。
最後に、鼻炎を悪化させないための「食養生」も非常に大切です。
唐辛子などの香辛料は粘膜を刺激して鼻炎を誘発します。
また、甘いものや乳製品は体を冷やし、漢方でいう「水」の停滞を招いて症状をひどくさせます。
「いつもの事だから」と諦めず、体質に合った漢方と食事の見直しで、仕事もプライベートも快適に過ごせる体作りを始めましょう。
成分がダイレクトに届く「煎じ薬」なら、長年のお悩みにも新しいアプローチが可能です。
眠くならない花粉症対策|小青竜湯で鼻水・くしゃみをスッキリ改善
2月から3月にかけて、つらく憂鬱な季節を感じる方も多いのではないでしょうか。
実は春の花粉飛散数は、前年夏の「気温・日照時間・降水量」に大きく左右されます。
猛暑で雨が少なかった翌年は、スギやヒノキの花芽が多く形成され、飛散量が急増するのです。
「薬を飲むと仕事中に眠くなる」「口の渇きがつらい」とお悩みの方に朗報です。
そんな方におすすめなのが、眠くなる成分を一切含まない漢方薬、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)です。
市販の花粉症薬によくある眠気やぼんやり感、口の渇きといった副作用の心配がありません。
名前の由来は、東方を護る守護神「青竜」から。構成生薬である「麻黄」の青さにちなんでいます。
集中力を維持したい仕事中や運転時でも、安心してお飲みいただける頼もしい味方です。
小青竜湯は、特に以下のような「水の巡り」の異常による症状に効果を発揮します。
・蛇口をひねったような、サラサラした鼻水やくしゃみ
・目のかゆみ、涙目、水分の多い痰(たん)
・アレルギー性鼻炎や気管支喘息、感冒(風邪)
一時的な症状緩和だけでなく、体を内側から温める効果があるのも漢方ならではの強みです。
冷えが原因で鼻炎が悪化しやすい方の「体質改善」として、長期的に愛用されることもあります。
成分がダイレクトに届く「煎じ薬」で、花粉に負けない健やかな体作りを始めましょう。
花粉症とマオウ
オリーブ薬局のお隣りは耳鼻科さん。
花粉の時期は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、目のかゆみ、喉の痛み、皮膚のかゆみ…などの患者さんが多く来られます。
花粉症は免疫反応の一種です。飛散した花粉を吸いこむことで起こるアレルギー反応ですが、花粉症を発症させる原因として、自動車の排気ガスによる大気汚染、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる微粒子(DEP)、ガソリンエンジンから排出される窒素酸化物(NOx)、黄砂などが関与しているという説もあります。
花粉症はどのように発症するのでしょうか。
体はスギなどの花粉を異物と認識すると、花粉に対するIgE抗体をつくります。これらの抗体は目や鼻の粘膜にある肥満細胞の表面に付着します。
再度花粉が侵入すると、花粉はこのIgE抗体と結合し、肥満細胞はヒスタミンなどの化学伝達物質が放出します。
この化学伝達物質が鼻の粘膜に作用して、くしゃみ、鼻みず、粘膜の腫れなどの症状を引き起こすということです。
西洋医学の内服薬は、主にヒスタミンの鼻粘膜に対する作用を遮断する抗ヒスタミン薬や、肥満細胞からヒスタミンが放出される過程を遮断する抗アレルギー薬が使われます。
とてもよいお薬もありますが、副作用として少なからず眠気やのどの乾燥などがありますね。
そこで漢方薬です。
例えば「小青竜湯」や「葛根湯加川芎辛夷」などの花粉症に用いられる漢方薬には「マオウ」という生薬が使われています。
マオウには抗アレルギー作用があり、肥満細胞からのヒスタミンの遊離を抑制する作用があります。
またマオウは鎮痛、鎮咳、抗炎症作用のあるエフェドリンも含んでおり、眠気覚ましのような効果も持ち合わせています。
ただし、マオウには心臓疾患や腎障害、高血圧などの方には、充分注意が必要ですのでご相談ください。
このように漢方薬を構成する生薬ひとつとっても、様々な効果を併せ持っています。
また漢方薬は、症状を抑えるだけでなく、冷えや水分代謝を整えることで、アレルギー反応をを起こしにくい体質に導きます。
西洋薬では眠くなって困る、体質から改善したいとお考えの方は、一度漢方薬をお試しになってください。
小青竜湯は肺・気管支炎にも有効
漢方薬の小青竜湯は、花粉症やアレルギー性鼻炎などの水のような鼻水、くしゃみに用いられることでよく知られていますが、鼻の症状だけでなく、気管支炎などでみられる水様の痰、咳、喘鳴などにも用いられる漢方薬です。
小青竜湯と呼吸器症状については、1981年に興味深い臨床研究が報告されています。
肺炎または気管支炎と診断され、肺に「湿性ラ音(しっせいラおん)」が認められた小児53人を対象に、12人には通常の西洋医学的治療に加えて小青竜湯を使用し、残りの41人には同様の西洋医学的治療のみを行い、その経過を比較しました。
その結果、解熱までの日数は小青竜湯を使用した群で平均1.2日、対照群では平均2.3日と、小青竜湯を使用した群で有意に短かったと報告されています。
さらに、胸の聴診で聞こえる湿性ラ音が消失するまでの日数も、小青竜湯使用群では平均3.3日、対照群では平均4.4日と、有意な差がみられました。
小青竜湯は、漢方では身体を温めながら余分な「水」の偏りを整える処方と考えられています。
そのため、サラサラした鼻水だけでなく、水っぽい痰や咳を伴う呼吸器症状にも用いられてきました。
ただし、この研究は小児53人を対象とした古い臨床報告であり、小青竜湯だけで肺炎や気管支炎を治療できることを示したものではありません。
特に肺炎が疑われる場合には、適切な診断と治療が必要です。そのうえで、症状や体質が合う場合には、通常の治療を補う漢方薬の一つとして小青竜湯が検討されることがあります。
(参考文献:安達原曄子ほか「湿性ラ音を伴う急性肺炎、気管支炎の小児に対する小青竜湯エキスの効果」『医療』1981年35巻9号 857-860)
















