認知症と漢方
漢方のEBM
90年代頃から、EBM(エビデンス・ベースド・メディスン=科学的根拠に基づいた医療)が重視されるようになり、漢方薬もその効能の根拠をより科学的に検証しようとする動きが盛んになりました。
- 認知症(レビー小体型)
認知症の中で、幻覚や妄想などの症状が強く出るこのタイプの症例の治療には『抑肝散』がよく使われます。
もともと高ぶった神経を鎮静化する働きがあるのですが、抑肝散を服用するグループと服用しないグループとに分け検証したところ、服用したグループは幻覚、幻視などが明らかに改善、ところが、飲まなかったグループは治療前と状況はほとんど変わらなったという研究結果もあります。 - 認知症(脳血管型)
脳血管障害が原因で起こるこのタイプの認知症はには『釣藤散』がよく使われます。
『釣藤散』は慢性頭痛や高血圧などで使われます。
釣藤散を服用するグループとそうでないグループに分けて検証した結果、『釣藤散』を服用したグループの方が、精神症状や自覚症状が改善したという研究結果があります。
西洋薬では、胃腸症状やめまい、眠気などの副作用が出ることが多く、上記の漢方薬の使用により、両方のよい部分を組み合わせた、より患者さんにあった治療の選択をすることができるのです。