肥満・ダイエットと漢方
幸せホルモンと食欲の秋
食欲の秋といわれます。なぜ、食欲の秋なのでしょう?
一般的には、暑さからも解放され、夏バテも回復して、農作物の収穫のシーズンだから…ということですが、実はもう一つ、神経伝達物質の観点からも「食欲の秋」が説明できるのです。
セロトニンは神経伝達物質のひとつで、幸せホルモンと呼ばれています。このセロトニンには、実は食欲を抑える作用があるんです。
セロトニンの分泌には日照時間が関係し、夏は日照時間が長いので身体が陽を浴びる時間も長く、セロトニンの分泌がさかんです。ところが、秋に入ると日照時間が短くなり、身体が陽を浴びる時間も短くなり、セロトニンの分泌が減ります。結果、食欲が増えるという話です。
さて、漢方薬にはダイエット漢方と呼ばれるものがいくつかあります。今回は防風通聖散と防已黄耆湯についてご紹介。
簡単に説明すると、固太りタイプは、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、水太りタイプは防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、という鑑別になります。
固太りとは、筋肉質でがっちりとしていて、その筋肉の間に脂肪が入り込んできた、かつてスポーツを経験し身体を鍛えていたような方。水太リタイプとは、皮膚や筋肉が柔らかく、むくみやすいタイプで、脂肪が燃焼しづらく冷えやすい方です。
どちらのタイプもダイエットの最初の一歩は、あくまで生活習慣の改善です。特になんと言っても食べるものを選ぶこと。ご質問いただければ、ダイエットに効果的な食養生のアドバイスもいたします。
脂肪を落とす防風通聖散
便秘や肥満症の薬として注目されている漢方で、過剰なものを排除することを目的に作られたお薬です。身体の余分な熱を冷まし、固まった便を柔らかくして排出する作用、脂肪細胞を活性化して、カロリー消費を高める作用があります。
軽度の糖代謝異常を伴う肥満症の女性を対象にした臨床試験では、食事や運動療法に「防風通聖散」を併せて用いた群では、偽薬を飲んだ群よりも体重や体脂肪、なかでも内臓脂肪が減り、糖代謝が改善したという報告もあります。ただ、このお薬は身体の中の余分なものを排除する作用が強いため、基本的に体力の充実した方に用います。胃腸の弱い方や体力の衰えている方には向きません。
水太りの漢方薬
肥満といってもひとくくりにはできません。肥満症の中でも、水太りで、疲れやすく、主に膝などの下半身に水が溜まりやすく、むくみやすい方に適した漢方薬「防已黄耆湯」があります。
比較的体力がなく、むくみが強く、汗をかきやすい人に用います。水太りというのは、水毒といわれるタイプで、水をたくさん飲んでもおしっこが増えず、体の中に溜め込みやすいのです。なので、いくら食事制限でダイエットをしても、ほとんど体重が減りません。
この防己黄耆湯という漢方薬は、水をさばいてむくみを改善する生薬と、胃腸を整えて体力をつけ、腎の働きを正常にし、水分の代謝をきちんと行えるようにする生薬が配合されてるんですね。
実際にお使いの患者さんには「足のむくみがなくなってすっきりした!」「体重が減って痩せてきました!」といったような、喜びの声をたびたびいただいています。
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