夜尿症(おねしょ)と漢方
夜尿症
幼児期のおねしょが5〜6歳を過ぎても月に数回以上頻発するものを夜尿症と呼びます。お子さんの夜尿を心配した親御さんからときどきご相談を受けますが、原因としては、
1.尿の量が減らない。(夜間睡眠中に尿量を抑える抗利尿ホルモンが分泌され、尿量が少なくなるが、夜尿症のお子さんはこのホルモンが十分分泌されない)
2.膀胱が大きくならない。
3.発育が遅れている。(全身の臓器や機能に問題が起きている)
4.ADHD(注意欠陥多動性障害)や学習障害などがある。
5.尿路感染症にかかったことがある。
6.背骨、お尻の皮膚に異常がある。
などが考えられ、治療としては以下のような点を意識した生活改善をします。
1.規則正しい生活
・早寝早起き
・夕食は寝る2,3時間前に済ませる
2.水分の摂り方
・朝昼の食事時などにたっぷり摂る
・夕方から就寝までの水分は控える
3.のどが乾かない工夫
・塩分を摂りすぎない
・糖分や果物を摂りすぎない
4.体を冷やさない
・寝る前にお風呂できちんと温まる
・冬場は布団を温めておく
お薬は、病院で処方される抗利尿ホルモン薬や抗コリン薬などが著効することも多く、症状に適した漢方煎じ薬もあります。
お気軽にご相談くださいね。
おねしょの漢方薬
6歳以上のお子さんがおねしょをしてしまう場合に「夜尿症」といわれます。夜尿症はお子さんの心のためにも積極的な改善のためのアプローチや薬による治療をとるべきといわれています。そこで、夜尿症に効く漢方のご紹介です。
まず、通常4、5歳にもなると膀胱におしっこを溜められる量が安定し、おねしょの心配がなくなるお子さんが多いです。しかし、尿を溜める膀胱の大きさ、睡眠中の尿の量などのバランスにより、小学校に入ってもおねしょが続くことがあります。
そんなときの漢方薬を。
- 葛根湯
葛根湯は風邪の引き始めにというイメージかもしれませんが、葛根湯には麻黄(まおう)という成分が含まれており、麻黄(まおう)には、覚せい作用や膀胱に尿を溜める作用を高める働きがある事で知られています。特に、昼間は尿の回数が少ないのに、夜間の尿量が増えるお子さんの場合に効果的と言われています。葛根湯は見るからに丈夫そうなお子さんにも使われます。 - 小建中湯
見るからに虚弱なタイプのお子さんで膀胱の筋肉などが未発達ゆえに起こるような夜尿症の場合には身体を丈夫にする目的で、小建中湯が用いられます。小建中湯は、桂枝湯(身体を温める漢方)に水あめを加えて甘くしたような処方内容です。
その他にも、下記のような内容があります。
- 虚弱かつ、神経質なタイプには、メンタル作用のある柴胡桂枝湯
- のどが渇いて水を多く飲むタイプの方には白虎加人参湯
- 手、足、腰回りが冷えやすいタイプの方には苓姜朮甘湯
- 膀胱機能そのものが弱い場合には漢方でいう「腎」の機能をを高める六味丸を用います。
生活の中での注意点は、昼間、親御さんが早め早めにトイレに行くことを促すのはNG。それは膀胱が尿を溜めようとするトレーニングができなくなるからです。ご注意を。
Net OLiVEでは随時ご相談を受け付けております、お気軽にどうぞ。