【イライラ・ストレス・うつ・不安】心と漢方

逍遙(しょうよう)とは?|加味逍遙散の名前の意味と働き

逍遙(しょうよう)とは、「気の向くままに、そこここを歩く」「気ままに楽しむ」といった意味を持つ言葉です。漢方では、この言葉が入った処方名に、心身のつらさから少しずつ解放され、穏やかに過ごせるようにというイメージが重なります。

気があがるイメージ

この「逍遙」という言葉が入った代表的な漢方薬が、加味逍遙散(かみしょうようさん)です。名前だけでは少しわかりにくい処方ですが、イライラ、不安感、不眠、のぼせ、ほてりなど、心と体の両方の不調に用いられることがあります。

加味逍遙散は、全身に必要な栄養を行き渡らせ、血行を整えながら、水分代謝を調整して余分な水分を体の外へ出しやすくすることで、冷えなどの不調を改善していく処方です。体の巡りが乱れやすく、さまざまな不調が重なって出やすい方に考えられることがあります。

漢方では「気」という、体を動かすエネルギーのようなものの流れを大切に考えます。この気が上に上がったままになると、イライラする、眠れない、のぼせるなどの症状が現れやすくなります。

加味逍遙散は、その上に上がりやすい気を落ち着かせ、心身のバランスを整えていく考え方の処方です。そのため、精神的な緊張や不安感だけでなく、肩こり、ほてり、めまいなどの身体症状にも使われることがあります。

加味逍遙散が考えられる主な症状
怒りっぽい、イライラしやすい、不安感がある、眠りが浅いといった精神的な不調のほか、肩こり、のぼせ、ほてり、めまいなどがみられるときに検討されることがあります。更年期の不調やホットフラッシュのような症状で名前を知る方も多い処方です。

こうした症状がいくつも重なっている場合、単なる気分の問題ではなく、体全体のバランスの乱れが背景にあることもあります。漢方では心と体を分けずにまとめて見ていくため、このような複数の不調が重なる状態にも対応しやすいのが特徴です。

実際に、加味逍遙散ののぼせやホットフラッシュに対する効果については、血管の炎症に関連する物質を有意に低下させたという試験結果も報告されています。名前の印象だけでなく、こうした研究面からも注目されている漢方薬です。

加味逍遙散は女性に使われる印象が強いかもしれませんが、女性だけの漢方薬というわけではありません。同じような体の状態であれば、男性に用いられることもあります。

ストレスに効く四逆散|イライラや胸のつかえに用いる漢方

胸脇苦満

東洋医学には「肝気鬱結」(かんきうっけつ)という状態があります。精神的なストレスが続くことで気の巡りが滞り、抑うつや怒りなどの感情が体の中に溜まってしまう状態を指します。

この状態になると、イライラや情緒不安定、短気、不眠、食欲不振、月経異常などさまざまな症状が現れることがあります。ストレスが体調に影響していると感じるとき、漢方ではこの「気の滞り」を重要な手がかりとして体の状態を見ていきます。

気の巡りが悪くなると、手足が冷えたり反対に汗をかいたりすることがあります。緊張するとお腹の調子が悪くなり、下痢をしやすくなるなど、精神的なストレスが体の症状として現れることも少なくありません。

普段は喜怒哀楽をあまり表に出さない一方で、不安が強くなると突然パニックに陥ったり混乱してしまうこともあります。几帳面で我慢強く、感情を発散するのが苦手でストレスをため込みやすいタイプの方に多い傾向があります。

胸脇苦満がある場合
肝気鬱結が強い場合、身体の両側に強い胸脇苦満(みぞおちから肋骨に沿う部分が緊張して苦しい、押すと痛い状態)がみられることがあります。腹直筋のつっぱりや胸のつかえを感じる方も少なくありません。

このような状態の方には、四逆散(しぎゃくさん)が考えられます。

四逆散は、ストレスによって乱れた気の巡りを整え、心と体のバランスを回復させることを目的とした漢方薬です。精神的な緊張による胸のつかえやイライラ、胃腸の不調などに用いられることがあります。

四逆散が向くことが多いタイプ
イライラしやすい、怒りっぽい、ストレスで胃が痛くなる、胸がつかえる感じがあるといった方に考えられることがあります。緊張するとお腹の調子が悪くなる、ストレスで食欲が落ちるといった体の反応がみられることもあります。

四逆散の構成生薬
構成生薬の柴胡(さいこ)には気のうっ滞を改善する働きがあり、鎮痛や消炎作用も知られています。枳実(きじつ)は柴胡とともに胸のつかえを改善し、芍薬(しゃくやく)には鎮痛作用、甘草(かんぞう)には緩和作用があります。

四逆散は構成生薬が4つと比較的少ない処方です。そのため、それぞれの生薬の働きがはっきり現れやすいのも特徴のひとつです。

体力が中くらい以上の方に向いている漢方薬とされているため、体力があまりない方には別の処方が考えられることもあります。体の状態によって合う漢方薬は変わるため、気になる症状がある場合は専門家に相談することが大切です。

五月病やうつ病対策|セロトニンを増やす生活習慣と漢方

五月病

五月病という言葉があります。新社会人や新しく大学や高校に進学した方が、新しい環境になじめず精神的に参ってしまう状態を指す言葉としてよく使われます。

環境の変化によるストレスや緊張が続くと、気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったりすることがあります。このような状態は五月病だけでなく、うつ状態のきっかけになることもあるといわれています。

うつ病などの精神的な不調は、ストレスや緊張によって脳内の神経伝達物質の働きが乱れることが原因のひとつと考えられています。主な神経伝達物質にはセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンがあり、これらは「心の三原色」と呼ばれることもあります。

その中でも重要な役割を果たすのがセロトニンです。セロトニンが不足すると気分の落ち込みや不安が起こりやすくなるため、セロトニンを増やす生活習慣を意識することが、うつ状態の予防につながると考えられています。

セロトニンを増やす生活習慣
セロトニンの分泌を促すためには、日常生活の中で次のようなことを心がけるとよいとされています。

1.早寝早起きをして、朝に太陽の光をしっかり浴びる
2.適度な運動をする
3.食事のときによく噛む
4.人や動物などとのスキンシップを大切にする
5.腸内環境を整える
6.セロトニンの原料となるトリプトファンを積極的に摂取する

セロトニンの原料であるトリプトファンは、腸内細菌の働きとも関係があるといわれています。そのため腸内環境を整えることも、セロトニンの生成にとって大切な要素のひとつです。

トリプトファンを多く含む食品には、豆類、バナナ、アーモンド、赤身肉、玄米、ソバなどがあります。トリプトファンはビタミンと一緒に摂ることで吸収がよくなるため、野菜や果物もバランスよく食べることが大切です。

うつ症状に用いられる漢方
漢方では、気の巡りや体力の状態を見ながら心と体のバランスを整える考え方をします。精神的な不調にも体質に合わせて漢方薬が用いられることがあります。

みぞおちが重苦しく、のどがつかえるような感じがあるタイプのうつ症状には、半夏厚朴湯が考えられます。

また、疲れやすく、やる気が出ない、体力が落ちているようなタイプの方には、補中益気湯が用いられることがあります。

精神的な不調は生活環境や体質によって現れ方が異なります。無理をせず生活習慣を整えながら、自分の体の状態に合った方法でケアしていくことが大切です。

アンニュイな季節|気分が晴れない・だるいときの漢方

気だるそうな女性

「アンニュイ」という言葉には、物憂い、けだるい、どこか気分が晴れないといった意味があります。何となくだるい、気持ちが重い、やる気が出ないと感じる季節には、この言葉がぴったりくることがあります。

ただ、アンニュイという言葉には少しおしゃれな響きがある一方で、実際には心が晴れず、体も重く感じるような不調が背景にあることもあります。気分の問題だけではなく、体の状態が関係している場合もあります。

気分が晴れないときに漢方で考えること
漢方では、心と体を分けずにまとめて見ていきます。気分の落ち込みや不安感があるときも、胃腸の弱り、のどのつかえ、吐き気、食欲不振などが一緒に出ていないかを確認しながら体の状態を考えていきます。

そのようなタイプの方に用いられることがある漢方薬が、半夏厚朴湯です。

半夏厚朴湯は、漢方の抗不安薬とも言われることがある処方です。体力は中程度以下で、胃腸が弱く、食欲不振、吐き気、嘔吐などがある方に考えられることがあります。

また、腹部が張り、みぞおちを軽くたたくとぽちゃぽちゃと水がたまったような音がみられる方にも向くことがあります。気分の不調だけでなく、体の中の水分の偏りや胃腸の働きの乱れもあわせて整えていく考え方です。

半夏厚朴湯が考えられる症状
のどに何かがつかえているように感じる、胸やみぞおちが重苦しい、不安感がある、緊張しやすい、胃が重いといった症状が重なる方に用いられることがあります。こうした状態は、漢方では気の巡りや痰飲の影響として考えられることがあります。

半夏厚朴湯には大七気湯という別名があります。七気(七情:喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)と痰飲が結びついて、のどに梅の種がつかえたような症状が現れる状態を改善するとされており、「心」の不調と体の症状をあわせて考える処方といえます。

服用するときに大切なこと
漢方薬は軽いうつ状態のような不調に用いられることもありますが、気長に服用することが前提になります。すぐに結果を求めるのではなく、心身のバランスを少しずつ整えていく考え方が大切です。

また、すでに治療中の方は、現在服用している西洋薬などから自己判断で漢方薬に切り替えるのは避ける必要があります。かかりつけの先生に相談した上で、今の体の状態に合った方法を慎重に選ぶことが望まれます。

こころの漢方薬

鬱

意外かもしれませんが、漢方薬は精神にも作用します。精神科領域でも漢方薬は大活躍です。
今月は「半夏厚朴湯」をご紹介し、その精神面への作用をご説明したいと思います。
「半夏厚朴湯」は漢方の安定剤。
【適応】気分が塞いで喉・食道部に違和感があり、時に動悸、めまい、嘔気を伴うものの諸症
【証】(虚実)虚〜中間証 (寒熱)中等証
半夏厚朴湯は抗うつ作用があると言われ、不安、緊張、イライラに効果があり、また、喉の違和感、異物感や息苦しいといった、パニック様症状に効果があると言われています。更年期障害の諸症状にも効果があるとされています。
半夏厚朴湯は、「気の流れを調整して滞りを改善する」ことで精神面への効果が出ます。西洋薬のように依存性や離脱症状はありません。
比較的副作用も出にくいので万人が利用していただくことはできますが、吐き気が出たり、気分が悪くなる場合は中止することをお勧めします。

ちなみに、「のどの異物感」は心が疲れてくると出るサインといわれています。
半夏厚朴湯は心のサプリ、お気軽にご相談ください。

酸棗仁湯

イライラしてる人

誰もが多くのストレスを抱えて生活をしています。
そのストレスを日々の生活の中でうまく解消していれば問題は起こりません。激しいストレスや疲労は自律神経の働きを乱し、情緒不安定になります。毎日疲労とストレスがリセットできるときっと気分よく朝が迎えられます。そんなことができればよいですね。
それを助ける漢方を今月はご紹介します。
「酸棗仁湯」(さんそうにんとう)です。
自律神経の働きを助ける「酸棗仁湯」は漢方版の「安定剤」です。
「酸棗仁(さんそうにん)」と「茯苓(ぶくりょう)」が不眠や神経の衰弱、胃腸障害を改善します。また、カッカしてる熱を冷ます効果が「知母(ちも)」にあります。
体質は中間タイプの方から、虚弱タイプの方にお勧めです。
ちなみに「知母(ちも)」はユリ科のハナスゲの根茎です。

麦門冬湯と四逆散

クヨクヨしてる人

仕事や勉強のストレスで疲れが溜まり、緊張が続いたときに、胃が重くなったり、口臭が強くなったりすることがあります。
口内炎が発生し、口の中がネバネバして、唾液が少なくなり、胃が重くなり、陰液(漢方の考え方で、人の体を構成する血・水・精などの要素)を補う舌苔がほとんどないような場合、胃の陰液を補う麦門冬湯(ばくもんどうとう)で対処します。
また、ストレスなどで、肝(漢方でいう、造血や気の巡りをつかさどる臓器)の疲れを取る効果がある四逆散も効果的です。四逆散は、気のめぐりをよくしてストレスを軽減します。
漢方で新しい口臭予防をお試しください。

母子同服

母子同服

「母子同服」という言葉があります。
母親がイライラすると、子どものアトピー性皮膚炎まで悪化するという例があります。アトピー性皮膚炎などの皮膚症状は精神的なストレスなどによってもたらされることが多いことで知られています。
イライラが強いような状態を漢方では「肝の失調」ととらえます。
ですから、それに対するお薬は加味逍遙散などの皮膚とは一見関係のないように見えるイライラを改善する漢方薬が功を奏することもあります。
そういう時に母子で同じお薬を服用して治療をすることを「母子同服」というのです。
「母子同服」
このように母子で治療する方法もあります。お気軽にお問い合わせください。

イライラ漢方とクヨクヨ漢方

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イライラとは怒りっぽい状態です。
漢方の考え方での五臓(肝・心・脾・肺・腎)のなかで肝の不調があると、肝鬱という、いわゆるイライラの状態になります。そんな時は「柴胡剤」の出番です。
柴胡剤の代表は『加味逍遙散』
女性の更年期やPMS(生理前後の諸症状)に使われますが、男性が使ってもかまいません。

一方クヨクヨとは漢方で言うところの『気』の乱れ。
五臓のいう『肺』の不調や胃腸の乱れから来ると言われます。
そんな時は『六君子湯』
胃腸の不調を改善しクヨクヨを解消します。
イライラもクヨクヨも漢方の出番です!


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