むくみと漢方

梅雨の季節のむくみ

浮腫み

ジメジメムシムシとした気候。
6月から7月にかけての梅雨の時期は、むくみや冷えで悩む人が増えるといわれています。その理由とは、梅雨前線によって降り続く雨により湿度が増し、身体の水のバランスが崩れるからです。

つまり、人は水分を皮膚から汗として外へ出します。しかし、湿度が高いと空気中に身体の汗を蒸散できなくなり、尿からの処理をせざるを得なくなります。
すると尿を排出する腎臓の負担が増え、その結果、むくみや冷えが出やすくなるというわけです。

またこの時期、日中は暑い日がある一方で、明け方は驚くほど気温が低くなったりしますので、腎臓が処理しきれずに日中にたまった体内の水分は、明け方になると冷やされ、まるで、濡れた衣服を身にまとっているかの如く、身体全体が冷えてしまうのです。

そこで、お勧めの漢方「五苓散」です。
この五苓散は、余分な身体の水分を追い出し、腎臓の助けをします。むくみをとり、偏った水のバランスを整える効果があるのです。

五苓散は「沢瀉・猪苓・茯苓・白朮・桂枝」の5種の生薬からなる漢方ですが、桂枝以外はすべて利水薬と言って、身体の水分を外に排出するのを助けます。
しかし、西洋薬の利尿薬と違って、脱水を起こさないのがよいところです。桂枝が温めるので「冷え」にも効果があります。
この時期お勧めの五苓散でした。

苓桂朮甘湯

水がたまった女性

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)は、めまい・ふらつき・立ちくらみ・頭痛などに用いられる漢方薬です。
特に、体内の水分バランスが乱れた「水滞(すいたい)」が関係していると考えられるめまいに適した処方です。

構成生薬は、茯苓(ブクリョウ)・桂皮(ケイヒ)・白朮(ビャクジュツ)・甘草(カンゾウ)の4種類。
「苓・桂・朮・甘」と、それぞれの生薬から一文字ずつ取って「苓桂朮甘湯」と名付けられています。

漢方で考える、めまいと「水」の関係

めまいの原因はさまざまですが、漢方ではその一つとして、身体に必要な「水(すい)」の巡りが悪くなり、一か所に停滞したり偏ったりする「水滞(すいたい)」という状態を考えます。
「水毒(すいどく)」と表現されることもあります。

「水」の巡りが悪くなると、めまい、ふらつき、立ちくらみ、頭痛などの症状につながると漢方では考えます。
人によっては、みぞおち付近を揺らしたときに「チャポチャポ」と水の音がするように感じる胃部振水音がみられることもあります。

イメージとしては、身体の中の必要な場所に水分がうまく巡らず、一部に余分な水分がとどまっているような状態です。
苓桂朮甘湯は、このような「水の巡りが悪いタイプのめまい」を改善するために用いられます。

苓桂朮甘湯はどんな人に向いている?

苓桂朮甘湯は、体力が中等度以下で、次のような症状がある方に用いられます。

・めまいやふらつきを繰り返す
・立ち上がったときにクラッとすることがある
・めまいとともに頭痛を感じる
・耳鳴りを伴うことがある
・のぼせや動悸を感じることがある
・身体の水分バランスが乱れていると感じる

特に、漢方でいう「水滞」が関係しためまいやふらつきに用いられる代表的な処方の一つです。

4つの生薬が「水」と「気」の巡りを整える

苓桂朮甘湯は、わずか4種類の生薬からなるシンプルな漢方処方です。

茯苓と白朮は、漢方では身体の水分代謝を整え、滞った「水」を巡らせるために用いられる生薬です。
桂皮は身体を温めながら「気」の巡りを整え、のぼせやめまいなどの改善を助けます。
甘草は、それぞれの生薬の働きを調和させ、処方全体をまとめる役割を担っています。

この4つの生薬が組み合わさることで、身体に偏った「水」の巡りを整えながら、「気」の上昇を鎮め、めまい・ふらつき・頭痛などを改善していくというのが苓桂朮甘湯の考え方です。

繰り返すめまいに、漢方という選択肢

「検査では大きな異常がないけれど、めまいやふらつきを繰り返す」「立ちくらみや頭痛も気になる」――そんなとき、症状や体質によっては苓桂朮甘湯が選択肢になることがあります。

ただし、めまいは原因によって治療法が大きく異なります。
急に強いめまいが起こった場合や、激しい頭痛、ろれつが回らない、手足に力が入りにくいなどの症状を伴う場合は、漢方で様子をみるのではなく、速やかに医療機関を受診してください。

めまいを繰り返す場合には、睡眠や食生活など日々の生活を見直すことも大切です。
そのうえで、自分の症状や体質に合った漢方薬を選ぶことが改善への近道になります。

「自分のめまいに苓桂朮甘湯は合うの?」と迷われた場合は、お気軽に薬剤師へご相談ください。

むくみの原因

ふくらはぎがむくんだ女性

体のむくみ、なかでもふくらはぎのむくみは特に女性に多い悩みです。
ではなぜ、ふくらはぎはむくみやすいのでしょうか?

ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれ、足に流れた血液を心臓に戻すポンプの働きをしています。
このポンプがうまく働かないことが原因でふくらはぎはむくんでしまうのです。

ふくらはぎのポンプとしての働きが低下してしまう原因は、
・筋力の低下
・長時間の同じ姿勢
・冷え性
・塩分のとりすぎ(過剰な塩分は水分を上手に排出できなくしてしまいます。)などがあげられます。

これらは、食生活の見直しや、筋肉を鍛えストレッチやマッサージで血行を良くすることで改善されます。
また『五苓散』など体の中の「水」の滞りを改善する漢方薬を飲んでみるのもよいでしょう。

ストレッチやマッサージなどではなかなか改善されないむくみにお悩みでしたら、漢方薬に頼ってみてはいかがでしょうか?
※むくんだ状態が長く続いたり繰り返したりする場合は、腎臓病や肝臓病、ホルモンの病気の危険があります。

防已黄耆湯について

ヘバーデン結節の女性

防已黄耆湯のお話です。

防已黄耆湯は、漢方でいう「水」の巡りが悪く、身体に余分な水分がたまりやすい「水毒(水滞)」のタイプに用いられる漢方薬です。
特に、疲れやすく、汗をかきやすい、むくみやすい、筋肉にしまりがなく、いわゆる「水太り」の傾向がある方に適しています。
こうした体質で、膝などの関節に腫れや痛みがある場合にも用いられます。

防已黄耆湯は、変形性膝関節症など整形外科領域でも用いられており、特に膝に水がたまる「関節水腫」を伴う場合に改善がみられたという臨床報告があります。
また、加齢に伴う関節の痛みでは、体質や症状が合えば、手指の変形性関節症であるヘバーデン結節や頸椎症などの痛みに対して漢方治療の一つとして検討されることもあります。

「膝に水がたまり、定期的に整形外科で水を抜いている」という方で、むくみや水太り、汗をかきやすいといった特徴がある場合には、防已黄耆湯が選択肢の一つになることがあります。
単に膝が痛いというだけでなく、関節の腫れや水がたまりやすいことと、その方の体質を合わせて選ぶことが大切な漢方です。




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