肩こりと漢方
温熱効果で肩こりを楽に
パソコンやスマートフォンを長時間使ったり、デスクワークで同じ姿勢を続けたりすると、首や肩の筋肉が緊張し、肩こりを感じやすくなります。
また、ストレスや緊張が続くことも、肩に力が入りやすくなる原因の一つです。
肩こりは身近な症状ですが、ひどくなると頭痛や首の痛みなどを伴い、日常生活にも影響することがあります。
一般的な肩こりでは、入浴や蒸しタオルなどで首や肩を温めたり、同じ姿勢を長時間続けないようにしたり、軽く身体を動かしたりすることも大切です。
マッサージも方法の一つですが、強く揉みすぎるとかえって筋肉を傷めることがありますので注意しましょう。
そして、「葛根湯といえば風邪の漢方」と思われる方も多いかもしれませんが、実は肩こりにも用いられる漢方薬です。
葛根湯(かっこんとう)は、体力が中等度以上の方の肩こり、筋肉痛、頭痛などにも用いられます。
葛根湯と肩こりの関係について調べた興味深い研究があります。
健常成人9人と肩こりのある患者19人に葛根湯を服用してもらい、サーモトレーサーを使って首の側面の体表温度を測定した研究です。
肩こりのある19人では、葛根湯服用120分後に21.1%で「著明改善」、42.1%で「改善」と判定され、合わせて63.2%に明らかな改善がみられました。
さらに、肩こりが改善した方では、首の側面の体表温度の上昇が大きいことも確認されました。
この結果から研究では、葛根湯による頸部の血液循環の改善が、肩こりを改善する作用の一つではないかと考察されています。
ただし、肩こり患者19人を対象とした小規模な研究ですので、すべての肩こりに同じ効果が得られるというものではありません。
葛根湯には、葛根・麻黄・大棗・桂皮・芍薬・甘草・生姜が配合されています。
漢方では、首や肩がこわばって動かしにくいような肩こりに用いられ、特に首筋から肩にかけて張る、こる、重く感じるといった症状がある方に検討される処方です。
なお、肩こりの原因は筋肉の緊張だけとは限りません。
強い首の痛みがある、腕や手にしびれや力の入りにくさがある、症状が長く続くといった場合には、頸椎などが原因となっていることもありますので、医療機関での診察も大切です。
「風邪ではないのに葛根湯?」と思われるかもしれませんが、葛根湯は肩こりも正式な効能の一つです。
首や肩のこりが気になる方は、ご自身の症状や体質に合っているか、お気軽に薬剤師へご相談ください。
(参考文献:矢久保修嗣ほか「葛根湯の肩こりに対する改善効果とサーモトレーサーによる検討」日本東洋医学雑誌 1997;47(5):795-802)
肩こりの漢方薬
肩こりでお悩みの方は多いと思います。
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、同じ姿勢を続けることによる筋肉の緊張、冷えやストレスなど、肩こりの原因はさまざまです。
入浴やストレッチ、マッサージ、湿布なども肩こりの対策になりますが、症状を繰り返す場合には、体質や肩こりに伴う症状に合わせて漢方薬を選ぶ方法もあります。
漢方では「肩がこる」という症状だけでなく、首や肩のこわばり、冷え、頭痛、吐き気、疲れやすさ、イライラなども合わせて考えます。
肩こりに用いられる代表的な漢方を、症状別に見てみましょう。
1.葛根湯(かっこんとう)
「風邪の漢方」というイメージが強い葛根湯ですが、実は肩こりも正式な効能の一つです。
比較的体力があり、首筋から肩にかけて筋肉がこわばり、張っているような肩こりに用いられます。特に「首を動かしにくい」「首から肩がガチガチに張っている」といったタイプに検討したい漢方です。
2.呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
手足が冷え、肩がこり、頭痛を伴う方に用いられる漢方です。
特に、冷えが強く、頭痛とともに吐き気や嘔吐を伴うような場合に適しています。「肩こりだけ」というよりも、冷えや頭痛、吐き気が一緒にみられることが、呉茱萸湯を選ぶポイントになります。
3.加味逍遙散(かみしょうようさん)
体力が中等度以下で、肩こり、疲れやすさ、のぼせ、冷え、精神不安やイライラなどがみられる方に用いられます。
特に、月経や更年期など女性ホルモンの変動に伴って、肩こりやイライラ、不眠などさまざまな不調が現れる方によく使われる漢方です。
このように、同じ肩こりでも、首や肩のこわばりが強いなら葛根湯、冷えと頭痛・吐き気を伴うなら呉茱萸湯、疲れやイライラ、のぼせなどを伴うなら加味逍遙散というように、症状や体質によって選ぶ漢方は異なります。
なお、複数の漢方薬を一緒に服用すると、同じ生薬が重複することがあります。
葛根湯と加味逍遙散にも共通して「甘草(カンゾウ)」が含まれていますので、併用する場合は自己判断ではなく、医師や薬剤師に確認することをおすすめします。
肩こりが長く続く、腕や手にしびれがある、力が入りにくい、強い首の痛みを伴うといった場合には、頸椎など別の原因が隠れていることもあります。
そのような場合は漢方だけで様子をみず、医療機関で診察を受けることも大切です。
「自分の肩こりにはどの漢方が合うの?」と迷われた場合は、肩こり以外の症状も含めて、お気軽に薬剤師へご相談ください。
















