不定愁訴と漢方
ジメジメした季節には
季節の変わり目などに体調を崩される方は多いですが、特に梅雨時期に体調を崩す方のご相談は多くあります。理由は諸説ありますが、長雨による「湿気」が関係しているといわれています。
湿気が原因で、身体に余計な水分がたまってしまう。それが体調不良の原因というわけです。過剰な水分は胃腸を弱らせ、食べられなくなるためにさらに栄養素が身体を巡らないので、体は弱ります。過剰な身体の水分は身体そのものを冷やし、頭痛やめまい、下痢を引き起こします。
そこで、この時期に有効な漢方を2点ご紹介。まずは【五苓散】。
全身の余分な水分を出してバランスを整えてくれます。余分な水分を出すと言っても決して脱水になったりすることはありません。全身のむくみや、吐き気、下痢、頭痛、めまいに効果的です。特に急性的な症状に効果があり、二日酔いなどにも即効性があります。
二日酔いに使われることでもわかるように、即効性を期待して処方されることも多いです。また、めまいなどの症状に使う際には少なくとも2週間くらいは1つの漢方をためすとよいといわれています。
お次は【苓桂朮甘湯】。
あるドクターのデータによると、めまいの患者の72%の方にこの漢方が有効だったというデータがあります。めまいにはまずお試しいただくとよいかと思います。
苓桂朮甘湯は、上半身の過剰な水分の除去適しているといわれており、頭痛、めまい、ふらつき、動悸などに効果があります。起立性の立ち眩みがあったり、動悸がある場合にはより適している漢方です。
動悸・息切れ
運動もしていないのに胸がどきどきする、脈が速い、リズムが乱れるなど、自身の拍動に不快感を感じることがありませんか? これらを動悸といいます。
ひと口に動悸と言っても、一時的な動悸は精神的に緊張していたり、興奮などによって起こりますが、それが続く場合は不整脈をはじめ、さまざまな心臓病も考えられます。ほかにも脱水症状や薬の副作用、甲状腺機能亢進症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの肺の病気などが原因の場合もありますので、まずは病院での診断が必要です。
検査では異常が見つからないような心因性の動悸や更年期障害に伴う動悸がある場合、漢方薬が効くことも多いです。漢方の考え方では、少し動いただけで息切れがするのは、「気」の量が不足している可能性があるととらえます。
また、「水」が不足して体に熱がこもると脈が速くなり、動悸、息切れを引き起こすとも考えます。こんな場合は、気や水を補い巡らせる漢方を用います。
心因性の動悸や息切れや胸苦しさは、放置すると徐々に悪化して、うつ病などを併発することもあります。心臓に異常がないからという放置せず、早めの対処が必要です。
台風と気圧
今日は全国的に天気が悪く、2つの台風に見舞われるという何ともいえない1日です。薬局の外からは学校が休みになって元気に自転車で駆け回る子供たちの姿も見えます。危ないぞ!頼むから家でジッとしていてくれ!という大人の声もこの大きな風音ではかき消されそうですね。
さて、本題です。
台風が近づいている時など、身体の不調を訴える方がいらっしゃいます。具体的には「腰の痛み」「頭痛」「めまい」などです。これ台風によって気圧の変化が生じ、その変化を神経が感じとり痛みを感じやすくなるからです。それだけではありません。身体の中の水分が増えて「むくみ」の原因になったりします。
これらの症状には自律神経を整える漢方、水のはけをよくする漢方をおすすめします。