冷え症と漢方
しもやけの漢方
冷えは血行を悪くし、顔色を曇らせ美容面と健康面両面からデメリットをもたらします。手足や腰の冷えに用いられる代表的な処方は、 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 (トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)です。
この漢方薬は実はしもやけ専門薬でもあります。 長期にわたって全身が冷えて、腰痛に加えて頭痛や腹痛にお困りの方に大変適しています。また冷えと腰痛の背景に貧血傾向がありますので、補血薬の当帰も配合されています。
ただ、このお薬は苦くて飲みにくいとされています。正直、味の悪いことで有名です。どうか我慢して服用してください。また、呉茱萸を含むこのお薬「眠くなる」「だるい」と言った症状を訴える方がおられます。それは、軽快する兆候なので、お続けください。どうしても飲みにくい時には、おろした「ショウガ」を入れて服用すると味が整います。煎じ薬の苦みを和らげ、さらに温める効果も高まります。
四逆散
四逆散という漢方薬が歴史上に初めて登場したのは『傷寒論』(後漢末期から三国時代に張仲景が編纂した伝統中国医学の古典)と言われており、「柴胡・芍薬・枳実・甘草」の4種類の生薬からなる漢方薬です。
カゼをこじらせて、手足が冷えやすく、咳、動悸、小便が出にくかったり、腹痛、下痢、渋り腹(便意はあるのに少量出るだけで排便の終わる感じがない状態)があるような方によく合う漢方です。
四逆散の『四逆』は「四肢逆冷」の略、すなわち、手足が非常に冷える症状のことです。
冷えには大きく分けると2種類あって、
1.温める力自体がないもの(陽虚、気虚など)
2.温める力はあっても、何らかの理由で、温めが全身に及ばない場合
があります。四逆散の場合の手足の冷えは後者です。
四逆散の使い手として有名な先生に、和田東郭先生という漢方医がいらっしゃいますが、「四逆散というのは、大柴胡湯の応用と考え、お腹やみぞおち、肋骨下に悪い反応があり、なおかつ手足が冷えるものは、四逆散でよくなる」としてずいぶんと多くの方々の伝染病や一般病を治療されたそうです。但し、重篤な冷えで、自ら温めようとする力のないものには効果なし、とのことです。
最強の冷え症向けの漢方薬
厚手の靴下を履いていても足が冷たい!、いつも足が氷のように冷たい!…など、足の冷えに悩む方は非常に多いです。中でも、冷えがとても強く、手足にしもやけができる方もいます。そのような方は、脈が弱く、とりわけ下半身の冷えを強く感じるという特徴があります。薬剤師がぜひともおすすめしたい漢方薬は、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」です。トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウと読みます。
これは末梢の循環を改善し、温める漢方薬です。「四逆」の「四」とは四肢、「逆」は「逆例」のことで、体の末端から冷えが上がっていくことを意味しています。飲み始めると下半身からだんだんと温まり、飲み続けているうちに徐々にしもやけも改善してきます。
脈が弱い方と書きましたのは、末梢の血の巡りがよくないので、脈が触れにくく弱いということなんですね。
温経湯
「温経湯」は、漢方でいうところの「血」(けつ)の量が不足した「血虚」(けっきょ)という状態を改善する漢方薬です。冷え性で、手足がほてり、唇が乾燥しているような人に向き、女性に用いられることが多いです。
用途1.不妊症⇒ 卵巣の機能をコントロールをしているホルモンバランスを整えたり、全身の状態を改善し不妊症に悩む女性にも用いられます。
用途2.皮膚症状⇒ 皮膚の乾燥や荒れ、あかぎれなどは、「血虚」の典型例です。乾燥してバリア機能が低下した皮膚は湿疹などのトラブルが起こりやすくなります。温経湯はそうした皮膚症状に効果的です。皮膚の潤いアップにも繋がります。
用途3.髪⇒ 髪は皮膚の一部です。皮膚へのよい効果と同様に、髪の手触りが良くなります。
用途4.月経不順⇒ 脈やおなかの力が弱い虚弱なタイプの方の月経不順や月経困難症に効果的です。
用途5.更年期障害⇒ 脈やおなかの力が弱い虚弱なタイプの方の更年期障害に効果的です。
用途6.抑うつ⇒ 冷えやすく、唇が乾く方ような方の抑うつ症状に効果的です。
ただし、著しく胃腸が虚弱な方の場合は食欲不振や悪心が起こる場合がありますのでご注意ください。
温経湯でお肌も気持ちも上がります!一度お試しください。
冷え症によく効く漢方
冷え症は、身体の他の部分が温まっていて冷たくないのに対して、手足の先などがなかなか温まらず、冷えているような感じが続くことです。この冷え症は、「血行不良」とも言えます。動脈硬化などにより、毛細血管まで温かい血液が循環しなかったり、外の気温により毛細血管が縮んでしまい、元に戻らず血行が悪くなり、血液の行き届きにくい手足の先に影響がでてしまいます。
そもそも冷え性は何故女性に多いのでしょうか。冷え症が女性に多い理由をいくつかご紹介したいと思います。
≪冷え性が女性に多い理由≫
さまざまな原因がありますが、血流の循環が悪いことが主な原因になっています。
ここで漢方薬の出番です。漢方の古典には、「四逆」という言葉があります。「四逆」という言葉の意味ですが、「四」は四肢、手足のことです。「逆」は、末端から血行が途絶えることです。つまり、四逆とは手足の血行が途絶えて、指先から冷えてくることを意味します。そこで、これらの症状を緩和するために使用される漢方薬として『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』があります。
この当帰四逆加呉茱萸生姜湯についてもう少し詳しく見ていきましょう。当帰四逆加呉茱萸生姜湯には以下の9種類の生薬が配合されています。
当帰、芍薬、桂皮、細辛、呉茱萸、生姜、木通、大棗、甘草
当帰と桂皮は血行を改善します。
細辛は咳止めに使われますが、ここでは腹部を温めて腹痛を鎮めます。
芍薬と大棗と甘草は、筋肉の緊張を緩め、腹痛を和らげます。
木通は体の水はけをよくして利尿作用を高めます。
呉茱萸湯は胃腸を丈夫にして、痛みを鎮めます。
生姜は、体を温めて水の巡りをよくして、吐き気を止めます。
血液の循環が悪くなると、手足や腹部が冷えてきます。腹部が冷たくなると、腸の動きが悪くなり、ガスが溜まってお腹が張ります。そして、血流が悪くなることで、筋肉が硬直し、体の節々が痛くなってしまいます。
このように血行不良による強い冷えが原因で起こる腹痛、腰痛、坐骨神経痛、頭痛、吐き気、疲労倦怠感、冷え症そのものなどの改善に、当帰四逆加呉茱萸生姜湯は顕著に効果をあらわすのです。冷え性でお困りの方、是非一度、ネットオリーブの当帰四逆加呉茱萸生姜湯をお試しください!
冷えは万病のもと
冷えからくる体の不調を我慢していませんか?冷えに悩まされる人は多く、女性では半数以上ともいわれています。
西洋医学では「冷え"性"(冷える性質)」ととらえられ、体に不調があっても、検査で異常が見られなければ、治療の対象になりにくいものです。しかし漢方では「冷え"症"(冷えの症状)」ととらえ、治療すべき重要な症状と考えられています。
冷えがあると、症状や生理不順、頭痛、腰痛、腹痛、生理痛などの痛みの症状も起こりやすく、めまい、不眠、肩こり、便秘や下痢など冷えにより悪化する病気も少なくありません。冷えを改善することは、心身の不調や病気の悪化を防ぐことにもつながります。漢方では「気・水・血」が体内を巡って健康を維持しているとされており、その量が不足したり、巡りが悪くなったりすると、様々な冷えが生じると考えます。
「血(けつ)」が不足した血虚の方に用いられる薬には「当帰四逆加呉茱萸生姜湯 」があります。これは最強の冷え性の漢方といわれる薬で、体を温めたり、血流を良くする作用のある生薬が各種含まれています。特に手足の先が冷え、しもやけができやすいような方に向いています。
「気」が不足した気虚の方は、全身が冷えやすく、胃腸の働きを良くして体を温める「人参湯」などが用いられます。「瘀血(おけつ)」(血行不良)の症状が中心になる場合には、冷えの状態や体力などを見極め「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」「温経湯」などを用います。
漢方では冷えの原因や体質を多角的にとらえ、きめ細かく対処することができます。