「証」と「気・血・水」のお話

気の流れを改善する漢方薬

気の流れの良い人

東洋医学で、体のしくみや病気の成り立ちを考えるときに欠かせない概念「気・血・水」。今回は「気」について。

「気」を語る際に登場する言葉で「経絡」(けいらく)という言葉があります。例えば、肩が痛いのに、原因は腰だった。ということありますが、それは身体が経絡でつながっているからだという考え方です。経絡はすなわち「気の流れ」であるとも言われています。このわかりづらい「経絡」すなわち「気の流れ」を体感していただくエクササイズをやってみましょう。

例えば、一度グッと胸を張ってみてください。その時の感覚を覚えておいてくださいね。そのあと、右手と左手をそれぞれの逆の手を使って外側に伸ばしてください。そして、また最初にやったように、胸を張ってみてください・・・・最初に胸を張った時よりも気持ちよく胸が張れることがわかると思います。

手と胸、場所は違いますし、伸ばした部位も関係があるようには思えません。しかし、胸の伸ばした感覚には変化がありました。これも身体が経絡(気の流れ)繋がっているからであるといえます。

漢方では、このように目には見えないですが、気の流れを重視します。気をめぐりを改善する代表の漢方には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)というお薬があります。 半夏厚朴湯は気の流れを改善し、ストレスを軽減するお薬で、漢方の安定剤のようなポジションです。特にのどに違和感を感じるような方に効果的です。

水の異常

足のむくみ

今日は「水」のお話しです。
漢方医学での「水」とは、身体の水そのものを指します。この水が全身を廻ることによって、体温調節をしたりします。生きていくには不可欠な物なのは皆さんがご存じの通りですね。しかし、この水の不調は様々な症状をきたします。

≪水滞(すいたい)≫
水滞は水毒ともいいます。「水」の流れが滞り、体液の分布が不均等な状態です。
停滞している部位によっても症状が変わってきます。それでは部位別にみてみましょう。
全身⇒むくみ、体が重だるい感じ、発汗が普段以上にとても多い
頭部⇒頭が重い、めまい、耳鳴り、立ちくらみ
胸部⇒水様性鼻汁、痰が絡む、咳
腹部⇒腹水、胃内停水(胃のがポチャポチャする)、お腹が張り、重い感じ、消化不良
関節⇒関節痛、こわばり
となります。

 例;二日酔いで顔がむくみ、喉が渇く⇒身体の表に水が余り、裏は渇いている⇒五苓散
 ※これによって余っていた表の水が不足していた裏に廻されるのである(これを利水という)

ほかにも利水作用のある漢方は六君子湯、防己黄耆湯などがあります。防己黄耆湯は水太りタイプの方のダイエットにも用いられてもいる漢方です。

六君子湯は、気虚の時にも用いられている漢方ですが、利水薬の代表とも言われる二陳湯に2種類の漢方を加えると六君子湯になります。

血の異常

血流

前回は、漢方医学の考え方で健康を維持するのに不可欠な3要素「気・血・水」の「気」についてお話しさせていただきましたね。今回は「血」についでです。

漢方でいう「血」とは、血液ないし血液によって運ばれる栄養分のことです。また、老廃物も運ぶため、血が滞ることは良くありません。それでは、血の異常を見ていきましょう。

<血の異常>
1.瘀血(おけつ)
血の巡りが悪く、局所的に血が余っている状態の事。皮膚の細絡(体の表面に現れた毛細血管の事で血の巡りが悪くなっている)、舌に認められる紫色の斑点や筋、下腹部の圧痛、硬結(炎症が長期に渡って生じた結果、組織が硬くなること)などで判断されます。生理痛や冷え性、不妊症などでよく認められる所見です。
例;月経痛、下腹部の痛みと舌の紫点あり⇒「瘀血」と判断⇒“桂枝茯苓丸

そのほかにも“桃核承気湯”、“当帰芍薬散”、“加味逍遙散”が瘀血に用いられます。

2.血虚(けっきょ)
血によって運ばれる栄養分がうまく配られていない。現代では偏食やダイエットが原因であることが多い。または、妊娠過多、妊娠、出産などで「血」の消費が激しいなどと、「血」が不足している状態のことなのです。
結果として、赤切れ、皮膚の艶が悪い、爪が割れやすく色が黒い、などの徴候が見られます。よく間違われる貧血とは異なる概念で、貧血が有ろうがが、無かろうと血虚の徴候があれば血虚、なければ血虚とはなりません。

貧血は血液中のヘモグロビンが足りない状態。血虚は血の巡りが悪く、血が足りていない状態です。
例;慢性気管支炎、顔色不良と皮膚の枯(こ)燥(そう)(水分が少ない状態)を伴う⇒血虚⇒人参養栄湯
そのほかに血を補い、全身状態の栄養状態を改善する”四物湯“、四物湯に補気作用のプラスした”十全大補湯“や”当帰芍薬散“も用いられます。

気の異常

鬱の人

「気血水」とは、我々の生命活動に必要な要素を3つに分類して考えるものです。この3つの要素によって体の健康を維持していると考えます。

今回はこの3つの要素のバランスが崩れることで身体にどのような影響を及ぼすかを見ていきたいと思います。
「気」…気とは形ないし目に見えるものでもないけれど、我々が生きていく為に必要なエネルギーを言います。
「元気になる」「やる気がある」「その気にならない」などの「気」です。気持ちが入れば身体も動くという事はどなたでも知っていることだと思います。病気も「気」からという事もあるくらいです。そして医療が扱うのも病気の「気」です。気が異常を起こすとどうなるのでしょう。主に以下の3種類に分類されます。

<気の異常>

1.気鬱(きうつ)
気の巡りが悪くなっている状態。心窩部(みぞおち)からお腹の辺りにかけて気が溜まってしまう為に、食道異物感(咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)) や腹部膨満感などが現れます。診断の時に決めてとなるのは心窩部の抵抗感(⇒心(しん)下(か)痞(ひ))が多いようです。
 例;ストレスが原因で不眠症⇒問診にて喉の違和感とみぞおち辺りに違和感を確認⇒気鬱と判断

2.気逆(きぎゃく)
気が下から上へと突き上げる(逆上)状態。代表的な症状に「冷えのぼせ」があります。これは逆上した結果として頭部に気が集まり熱くなり(気が充満した部分に熱が集まった状態)、反対に下半身は気がおろそかになるので、冷えるという現象です。臍(へそ)の周囲に動機(臍(さい)傍(ぼう)悸(き))を触れるのが特徴だと言われています。
 例;更年期障害に伴う冷えのぼせ⇒腹部の動機を確認し、気逆と診断⇒“加味逍遙散”を選択する。

3.気虚(ききょ)
様々な原因によって気力が衰えた状態。易疲労感、食欲減退などの症状が現れることが多いです。問診の段階で振る舞い、言動から察知できる事が多い。
 例;好きな人に振られて食欲減退⇒気虚によるものと判断、更に胃内停水(胃部振水音)を認めた⇒“六君子湯

八綱(はっこう)

暑がりな人

「証」で表現される東洋医学の「八綱(はっこう)」「気血水」「五臓六腑」という3つの基本概念があります。今日は「八綱」について触れたいと思います。

1.表裏→病変部位を区別するもの
表;皮膚などの外界に接している部位
⇒表証は口、鼻などから体内に邪気が侵入した状態。
特徴としては初期によく見られ、病状の変化が早い。
(例;頭痛、悪寒、発熱など)
裏;内臓など、体の内部に位置する部位
⇒病位が広範囲に及ぶことがあり。症状も様々であるため、表証でないものを裏証とする。
(例;腹痛、便秘)
半表半裏;口腔内、喉のあたり
⇒胸腔内臓器や横隔膜に見られる。
(例;咽頭痛、目眩、食欲不振、胸脇苦満)

2.寒熱
寒;冷えている、冷たい⇒温かいのを好む、四肢の冷えがある、便が柔らかい。
(例;下痢をしている、原因を聞いてみるとアイスクリームの食べ過ぎ。腸が冷えている→裏寒)
熱;熱をもっている⇒冷たいのを好む、口渇がある、顔が火照っている、便秘
(例;関節痛で、手で触れてみて熱ければ、表面が熱くなっている→表熱)

3.虚実→鑑別する際は、表裏と寒熱を絡めて考える
虚;正気不足(抵抗力が不足している)
⇒表虚証、裏虚証、虚寒証、虚熱証に分別
実;外界からの邪気の感受、体内の病理
⇒表実証、裏実証、実寒証、実熱証に分別

4.陰陽→八綱弁証の総綱である
陰;冷えている、湿っているイメージ(裏証、寒証、虚証がある)
陽;暖かい、乾燥している。イメージ(表証、熱証、実証がある)

証の見立て

証の見立て

今日は漢方の特徴的な質問項目の説明をします。
まず、
1.冷えがあるかのぼせがあるか
2.のどの渇きや口の渇きがあるか
3.汗のかきかた
4.めまいの有無
5.便通の状態
6.排尿の状態
7.だるいなどの全般的な身体の状態
8.おなかのぽちゃぽちゃという音
9.肋骨の当たりの抵抗感や苦しさの有無
10.みぞおちの抵抗感や痛み
これらの内容を勘案し証を決める参考にします。(薬剤師は触診できません)

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