生薬の雑学

生薬の組み合わせ

生薬

漢の時代の医学書である『神農本草経』(しんのうほんぞうきょう)という書物があり、その序文には生薬同士の組み合わせが7通り書かれています。そのいくつかをご紹介しますと…、
(1)相須(そうす)=同じ仲間の生薬の組み合わせによって作用を増強する
(2)相使(そうし)=違う性質の組み合わせによって生薬の効果を高める
(3)相畏(そうい)=互いに抑制し合って副作用を軽減させる
(4)相悪(そうお)=両方の効果が弱くなる
これは、薬物相互作用の原点であると言えます。
そもそも、なぜ生薬を組み合わせる必要があるのでしょうか?
例えば、10種類の生薬があるとする。1つずつ使うと10通りです。しかし、組み合わせを作ると、2の10乗マイナス1で、1023通り…しかも、組み合わせが同じで、分量の違うものもカウントするとなるとまさに無限の組み合わせができます。
日本では、医療用として用いられているものは200を超えます。その数の多さに見合った、漢方薬の『見立て』がキモなのです。

芍薬は薬の中の薬

美人

『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』
この言葉は昔から、美人を例えた言葉として使われました。芍薬は上へまっすぐと伸びる様から、スラリと細い女性の例えとして用いられたとか。
また、これらのお薬は女性の美しさを保つ薬草としても親しまれたことも有名です。
外見の美しさだけでなく、中身の効能にも着目した深い言葉だと言えます。
そもそも、芍薬の「芍」の字はもともと「薬」という意味があるそうです。それでは、芍薬は「薬薬」になってしまいます。その通り、芍薬は薬の中の薬なのです。
芍薬には更年期、生理不順など女性特有のお悩みを改善する働きがあります。そのほか、貧血、血流を改善したい方、肩こりを和らげたい方などへお使いいただけると効果的です。
芍薬はエビデンスも豊富で、機能性成分ペオニフロリンが含まれています。これはPGE2やLTB4の産生阻害効果をもつことから、更年期障害予防効果のほかに、抗炎症作用を持つと考えられています。またその他18種の機能性成分により、血小板凝集抑制作用があるとされ、血流を改善する効果が期待できることもわかっています。
また、総コレステロールやLDLコレステロールの減少効果から、芍薬は動脈硬化予防効果を持つと考えられています。
まさに、薬の中の薬。
しかし、単独では、処方されず、おおよそ、他の生薬と組み合わさり、漢方薬が構成されています。

 

長寿の秘訣

クコの実

1677年、四川省に生まれた李青曇(リ・ウンドン)さんの話。
彼は、10歳で漢方医になる。毎日野山を散策し、生薬のもとになる草花を集める、そのうち彼は採取する草花に様々な効能を発見する。そして、霊芝(レイシ)やクコの実、ニンジン、ドクダミ、お酒だけで過ごすという生活を40年以上にわたり続けた。71歳の時には武道の師範として軍隊に招かれ、若者に武術も指導したという。
身長2メートル、23人の女性と結婚をして、180人(それ以上?)の子孫を残したとか。そして何よりも、驚くべきは、彼が256歳まで生きたと言われていること。長寿の秘訣を次のように語っている。
「心を落ち着けて、カメのように座り、鳩のように歩き、そして犬のように寝ることです」
ちなみに最も愛した生薬は漢方のクコの実。この生薬をお茶にして毎日飲んだということです。

桃は女性の味方

桃

中国で桃は「延命長寿」の象徴といわれています。
桃にまつわる伝説でこんな話があります。

蟠桃といわれる幻の桃は、千年に一度しか実らない。道教における最上位の女神を指す西王母が手掛けた桃のこと。この桃を食べるといつまでも若々しく永遠の命を得られ、不老長寿になると言い継がれている。
日本においても「古事記」には次のような言い伝えがあります。
いざなぎのみことが黄泉の国から逃げ帰る際に死霊に追われていたが、黄泉の国と現世のまさにその境でいざなぎのみことを助けようと白山菊理姫命が桃の実を死霊に向け投げたところ、死霊は霊力を失い、逃げ帰ったという逸話がある。
桃にまつわるお話しには興味深いものがある。

さて、桃の種は生薬としても薬効があり、現代においてもその力を発揮している。トウニン(桃仁)です。
桃仁は女性薬として、便秘や生理不順などの諸症状に使われており、その桃仁を配合した漢方薬は「桂枝茯苓丸」「甲字湯」である。両方とも血の道症、生理不順、のぼせやすくて足が冷える女性に使われます。
胃腸の丈夫な方は桂枝茯苓丸、胃腸の弱い方はそれにカンゾウとショウキョウが加わった甲字湯がお勧めです。

将軍湯

大黄

「将軍湯」という、大黄という生薬だけの処方の漢方薬があります。
大黄(ダイオウ)というと「便秘薬」というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、将軍湯はそういう目的で使われていたわけではありません。
そもそもの「将軍」という名前の由来は「峻烈で速い」ということを示す意味。
医学書『壽世保元(じゅせいほげん)』の中には癲狂(てんきょう)という病気(今でいう、統合失調症)の治療のために将軍湯がその鎮静効果を期待して使われていたそうです。
この効果の元はなにかというと、大黄の水製エキスには「RGタンニン」といいう成分が含まれており、これが合失調症薬である「クロルプロマジン」のような働きをするとのこと。しかし、クロルプロマジンのような筋弛緩、運動失調のような副作用を起こさないことが特徴とのこと。
また、近年には面白い研究結果が…。
将軍湯は、健常のラットにはなんら作用しないものの、メタンフェタミンにより自発運動促したラット(すなわち無理やり興奮させたラット)を鎮静させたり、攻撃性を高めたラットを馴化させる作用があったとのこと。
精神科領域で、活躍が期待できる期待の漢方薬、それが将軍湯なのです。
あいにく当店では、大黄一味の将軍湯の取り扱いはございません。ご相談ください。

 

杏仁(きょうにん)

漢方薬

江戸時代の漢方医のお話を。
その昔、水戸藩に原南陽(はらなんよう)という有名な漢方医の先生がいました。その漢方医の先生は有名な乙字湯や甲字湯を作った漢方医なのですが、今回はその原南陽エピソードから。
原南陽は水戸藩医の子に生まれました。京都で長く遊学し、その後、山脇東門に学び医術を修めました。その後、助産術も学んだ後に江戸にて開業したが、しばらくは貧乏な暮らしぶりでした。
ある時、水戸侯が急病になりました。名医大家を呼びつけ、手を尽くしたが、危篤になってしまいました。
その時、たまたま南陽に白羽の矢が立つことになります。
そして、水戸侯を診察した南陽は、見事治してしまったのです。南陽は侍医となり、500万石を手にしました。その時に使ったのが「走馬湯」という漢方で、巴豆と杏仁からなる漢方でした。南陽はなんとそれを9文で買って投薬し、水戸侯を治し、500万石を手にしたのです。巴豆という生薬は以前は食中毒などに使われていましたが現在ではほとんど使われなくなりました。杏仁は、ご存知「麻黄湯」や「麻杏甘石湯」に含まれています。咳止め、痰切の効果があります。
「麻黄湯」はインフルエンザに、「麻杏甘石湯」は小児喘息や気管支喘息にも使われます。

シソを使った漢方薬

紫蘇

中国の後漢の時代のこと。有名なお医者様がカニの食中毒で死にそうになっている若者を紫色の草で蘇らせたそうです。 その逸話から、ついた名前が私たちにもなじみのある「紫蘇(シソ)」なのだそうです。
紫蘇の主成分は「ロズマリン酸」で活性酸素を除去する効果があります。
今回はその紫蘇を含有した生薬、香蘇散のご紹介です。
香蘇散は紫蘇、ショウガ、ミカンの皮など、身近な食材としても親しみのある生薬で構成されています。香蘇散は、主に初期の風邪薬として使用されます。特徴は胃腸の弱い方やお子さんに対して相性がよいこと。通常の風邪の漢方と違い、「マオウ」という成分を含んでいません。
「マオウ」を含有している葛根湯や麻黄湯では、交感神経を活性化し発汗を促し、免疫力を高めます。しかし、証の合わない方が服用すると、胃腸を悪くしたり、動悸がしたり、血圧が上がってしまったりします。そこで、「マオウ」はちょっと・・・という方には香蘇散が合うというわけなのです。香蘇散は一般的な風邪だけではなく、心の風邪である5月病やうつ病にも効果があり、腹痛、喘息などにも使われます。また、食物アレルギー(特に魚肉アレルギー)には即効性があると定評があります。喘息には少し紫蘇を多めに入れて使う場合もあるそうです。
香蘇散は、やさしく心と身体を元気にしてくれます。

ウイキョウ

腹痛

魚料理やピクルスの香りづけによく使われるフェンネルというスパイスをご存じですか?
和名は「茴香」(ウイキョウ)と呼び、漢方薬に使われるセリ科の多年草です。
効能は、健胃、整腸、鎮痛、去痰作用。
中東や東アジアなどの地域では、レストランで食事をした後に、ウイキョウの種や果実の砂糖衣がけがお口直しに出てくることが多いそうです。食後に5〜6粒噛めば、胸やけやガスによるお腹の張りを改善してくれ、眠気冷ましや口腔内の清涼感を味わう目的もあるようです。
このウイキョウを含む漢方薬には、安中散という胃のお薬があります。
胃酸の分泌の多い方の胃痛によく使われ、特にやせ型で体力が低下したお腹の筋力がないような方の胃痛、胸やけ、吐き気、食欲不振などに用いられるお薬です。
安中散は神経質な方にも向いていて、ストレスからくる膨満感や胃下垂の方に多い胃アトニー(胃無力症)にともなう不快感にも使います。
安中散の適応がある方には、甘いもの好きな方が多いという話があり、中医学では、甘みには胃腸の働きを助け、痛みや緊張をやわらげる作用があるといわれています。

当に家に帰るべし

当帰

女性特有の病気によく用いられる漢方としておなじみの当帰芍薬散に含まれる、当帰のお話しです。
当帰は、補血(血を補う)鎮痛、鎮静作用があり、婦人病を中心に、多くの漢方薬に配合されています。
当帰(とうき)の名前の由来は、昔、子が授からずに婚家から実家に返された嫁が当帰を服用して身体を温め、子が授かる身体になって婚家に当に(まさに)帰ることができたというところから名づけられたそうです。
当帰は、入浴剤にも使われています。そのお湯につかると、お肌がスベスベし、身体の芯から温まります。
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ナツメ

なつめ

「ナツメ」は漢方薬でいうところの「タイソウ」です。
葛根湯、防已黄耆湯、小建中湯、補中益気湯などに含まれており、強壮、利尿作用、通経作用があります。下痢などで傷ついた消化管を治し、興奮した腸の働きを改善することで、腹痛を治める効果があります。
ナツメは「夏芽」と書きます。夏に芽を出すということから萌芽が遅いのが特徴です。
韓国では、花嫁に姑がナツメをたくさん糸に通したものを贈ります。ナツメを食べて元気を出し、子宝に恵まれることを期待するのだそうです。
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サフラワー

サフラン

7月に入り、毎日蒸し暑い日々が続きますね。
スペイン料理のパエリアを美しく彩るハーブ、サフランは、アヤメ科の植物で、漢方薬としては「番紅花(ばんこうか)」と呼ばれています。
通経剤として生理痛、月経不順や風邪などに使われます。鎮痛作用や、鎮静作用もあり、月経前後のイライラにも効果があります。更年期障害にも効果があるとされ、女性にとっては強い味方です。
この番紅花とよく似た名前の生薬で、キク科のサフラワーがあります。こちらは花(花弁)全体を利用した漢方薬で紅花(こうか)といいます。
『番紅花』と同様に腹痛や月経不順や更年期障害、冷え、腫瘍などの改善に使われます。サフラワーには末梢血管拡張作用があるビタミンEや血液サラサラ効果が期待される不飽和脂肪酸、黄色色素サフロミンや紅色色素カルタミンなど血行促進・血液浄化に有効とされる色素成分が含まれています。抗酸化作用を多く持つ成分が含有されていることから、アンチエイジングにも効果的なのです。
これを含有した漢方が「通導散(ツウドウサン)」です。通導散には、他にも血の巡りを改善するトウキやソボク、お通じを改善するダイオウ、気持ちを落ち着けるキジツやコウボク、浮腫みをとるモクツウが含有されています。
お心当たりの方は、どうぞお試しください。

子どもは「附子」に注意

トリカブト

附子(ブシ)という、トリカブトの根を乾燥させて作る生薬があります。
代謝を活発にして、身体を温める性質をもった附子は、もともと子供は代謝が活発ということもあり、うかつに投与すると 中毒症状を起こしやすいといわれています。 子供は、女性や高齢者のように「冷え」があることもありませんし、 活発な子供に附子を使う機会はそんなにありません。
附子を含む漢方薬は 「桂枝加朮附湯」や「八味地黄丸」がありますが、法律的に薬局製剤において販売できないためにネッ 逆に麻黄(マオウ)という生薬は、気管支炎や喘息予防、風邪症状の緩和、むくみの改善などに効果がありますが、 高齢者には注意が必要とされる一方、子供たちには感受性が低く、安心して使われることが多いのです。
マオウが含まれている漢方薬は「葛根湯」「葛根湯加川キュウ辛夷」「小青竜湯」「防風通聖散」「麻杏甘石湯」などで、小児にもよく使われます。
お気軽にご相談ください。

漢方、ハーブ、アロマの特徴

アロマを炊く人

ハーブはヨーロッパを起源とする香りの強いハーブや、中近東からインドに生息する熱帯のスパイス、樹木などを乾燥させてハーブティとして使うものです。 漢方とハーブに共通する植物もありますが、漢方は植物だけでなく、血や骨、角といった動物の物、化石などの鉱物も用います。
ハーブの特徴としては異物反応や、副作用といったものは全くと言っていいほどありません。また体全体のシステムの機能向上ができます。ホルモンの作用や、ストレスに対する作用は弱く、ハーブのみではカバーしきれない領域があります。
そして、アロマテラピーは、西洋のハーブなどの原料を蒸留して得られる精油という香りのよい成分を使います。精油は揮発性や芳香性の強い植物成分の集合体です。油というよりもアルコールに近いようなサラッとした性状です。アロマセラピーの精油の多くは、蒸留法と呼ばれる方法によって採油されています。ウイスキーなどを作る装置と同じような方法です。
漢方薬は、高分子、高沸点の成分中心、一方、精油は低分子、低沸点、揮発性の物質が中心になって構成しています。漢方薬やハーブティは水溶性、アロマテラピーの精油は脂溶性です。
漢方薬は医薬品として認められていることもあり、使い方にもよりますが一番効果が期待できます。 ハーブはアロマと比べて作用は緩やかですが、続けて体内へ取り込むことで、体質の改善が期待できます。
アロマは外側からのアプローチが多いため、日常的にハーブを内側から取り入れ、身体の外側と内側の両面から植物のパワーを吸収することが理想的です。
いずれにしても、万能薬というわけにはいきません。天然の植物の力で治療するためには適切なアドバイザーが必要です。

生姜と乾姜

生姜

よく"生姜は身体を温める"といわれていますが、実はこれ、正しくもあり、間違いでもあります。
生の生姜を摂ると、手や足の指先などの末端がぽかぽかと温かくなってきます。
これは、生の生姜に含まれるジンゲロールという成分に血流を良くする効果があるからです。
ただ、このジンゲロール、体の内側の熱を体の表面に送り出し、体表をだけを温める効果があるため、実は体の内部は熱を奪われ、冷えてしまうのです。
生姜は天日に干して乾燥させることで、ジンゲロールの一部がショウガオールという成分になります。ショウガオールには、胃腸の壁を刺激し、胃腸の運動で血流を良くし、身体を内側から温める作用があります。
同じ生姜でも、生のものと天日で乾燥したものにはこんなにも違いがあるんですね。
生薬には「生姜(ショウキョウ)」「乾姜(カンキョウ)」があり、漢方薬にはそれらが絶妙に使い分けられて配合、処方されています。
何事もバランスなんですね。
漢方の選択に迷われましたら、ぜひネットオリーブにご相談ください。

オケラ

植物のオケラ

中国最古の薬用植物事典である「神農本草経」(紀元前一世紀頃)は365種類の生薬についての育成場所やその外見、薬能などを記したものですが、その「神農本草経」に書かれているものは、文章のみです。しかも大変簡単に書いてあるので、今、私たちが使っている植物と同じかどうかは実はよくわからないのだそうです。
たとえば、「朮」
これが現在の白朮なのか蒼朮なのかも明らかではないそうです。
一般には、胃腸の弱い方には白朮、胃が強い方には蒼朮と使い分けますが、実は、のちの文献には「朮」には赤と白の二つがあると書かれている文献もあるのです。
現在の日本薬局方では、オケラまたは、オオバナオケラを「白朮」ホソバオケラを「蒼朮」としているのに対して中国では、オケラを「蒼朮」の一種としています。
というわけで「朮」は湿を除き(水をさばき)、脾を助けます。
水毒の症状を改善しますので、むくみや頭痛、めまいの症状、下痢や悪心などにも効果を出します。
先人の叡智(ときどきあいまいですが…)をあなたにも!

漢方のハーモニー

カンゾウ

「カンゾウ」という生薬があります。
「カンゾウ」はたくさんの漢方薬の構成生薬として登場します。その理由を説明したいと思います。
カンゾウそのものに、抗炎症効果や鎮痛、鎮咳、鎮痙効果、抗ストレス、リラックス効果などがあります。しかし、それ以上に重要な効果があるのです。
それはカンゾウが持つ、他の構成生薬の作用を緩和する効果です。作用を緩和することにより毒性の発現を抑え、生薬の混合物を1つの方向性を持った処方としてまとめる作用があるのです。
たとえば、大黄甘草湯を例にとってみましょう。
同量の大黄を単独で投与した場合、大黄の強烈な下剤効果で、激しい水様便が観察されます。ところが、カンゾウが加わった処方である大黄甘草湯を投与した場合は、そのような現象は見られないのです。
カンゾウは漢方の効果の調和をとるためになくてはならない存在なのです。

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