頭痛と漢方

夏の冷えと頭痛

エアコンで体調くずした男性

夏は暑い屋外と冷房の効いた室内を行き来することが多く、思っている以上に身体が冷える季節です。さらに、アイスコーヒーや冷たいお茶、アイスクリーム、かき氷など、冷たいものを口にする機会も増えます。

こうした環境で体調を崩し、「手足が冷える」「胃の調子が悪い」「頭痛がする」「吐き気を伴う」といった症状が現れる方もいます。

もちろん、片頭痛の原因やきっかけは人によってさまざまです。ただ、漢方では手足や胃腸の冷えがあり、頭痛とともに吐き気を伴うタイプに用いられる代表的な処方があります。

それが、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)です。

呉茱萸湯は、呉茱萸・人参・大棗・生姜の4種類の生薬からなる漢方薬です。手足が冷え、頭痛があり、ときに吐き気を伴う方に用いられます。

「頭が痛い」という症状だけでなく、冷えや吐き気、胃腸の状態も一緒にみることが、呉茱萸湯を選ぶポイントです。

例えば、「頭痛がすると気持ち悪くなる」「手足が冷たい」「胃が弱い」「頭痛と一緒に吐き気が出る」といった方では、体質や症状によって呉茱萸湯が選択肢になることがあります。

呉茱萸湯は片頭痛に対しても研究されており、漢方医学的に冷えを伴うタイプの片頭痛を対象とした臨床研究も報告されています。ただし、すべての片頭痛に呉茱萸湯が適しているわけではありません。

一般的に煎じ薬は温かい状態で服用しますが、呉茱萸湯は頭痛や胸やけが強い場合には、煎じ液を冷まして服用することもあります。ただし、胃腸を冷やしすぎないことも大切ですので、その方の症状や体質に合わせて服用します。

夏だからといって身体を冷やしすぎず、冷房の温度や冷たい飲み物・食べ物の摂りすぎにも気をつけてみましょう。「夏になると頭痛が増える」「頭痛と冷え、吐き気が一緒に起こる」という方は、症状や体質に合った漢方を選ぶことが大切です。

低気圧で起こる頭痛

雨の日の頭痛と水分

「雨が降る前になると頭が痛い」「台風が近づくと頭痛やめまいがする」。そんな経験はありませんか?

天候や気圧の変化に伴って、頭痛、めまい、だるさなどの体調不良が現れることがあり、一般に「気象病」などと呼ばれることがあります。特に片頭痛のある方では、天候の変化が頭痛のきっかけの一つになることがあります。

漢方では、このような頭痛の中でも、身体の「水」の巡りが乱れているタイプに注目します。頭痛だけでなく、むくみ、めまい、吐き気、頭が重い感じなどを伴う場合には、「水滞(すいたい)」と呼ばれる状態を考えることがあります。

このような「水」の偏りを伴う頭痛に代表的に用いられるのが、五苓散(ごれいさん)です。

五苓散は、沢瀉・猪苓・茯苓・白朮・桂皮の5種類の生薬から構成されています。漢方では、単純に「水を外へ出す」というよりも、身体の中で偏っている水分バランスを整える処方として使われます。

五苓散は、のどが渇いて尿量が少なく、頭痛、むくみ、吐き気などを伴う方に用いられます。頭痛だけでなく、「雨の日は身体が重い」「むくみやすい」「めまいや吐き気もある」といった症状が一緒にみられることが、処方を選ぶ際のポイントになります。

近年では、天候や気圧の変化による頭痛と五苓散についても研究されています。2024年に報告された144人を対象とした観察研究では、五苓散を使用した方で、1週間あたりの頭痛回数や頭痛の強さ、鎮痛薬を使用する回数が治療前より減少したことが報告されました。

ただし、この研究は治療を受けた方の経過を後から調べた「観察研究」であり、すべての低気圧による頭痛に五苓散が効くことを証明したものではありません。

また、「低気圧で頭痛がする=必ず五苓散」というわけでもありません。例えば、冷えと吐き気を伴う頭痛なら呉茱萸湯など、同じ頭痛でも症状や体質によって選ぶ漢方は変わります。

「雨の前になると頭痛がする」「頭痛と一緒にむくみやめまい、吐き気が出る」という方は、天気と症状の関係を記録してみるのもおすすめです。自分の頭痛がどんなときに起こるのか分かると、漢方を選ぶ際にも役立ちます。

なお、突然これまでにない激しい頭痛が起こった場合や、手足のしびれ、ろれつが回らない、意識がおかしい、高熱などを伴う場合には、漢方で様子をみず、速やかに医療機関を受診してください。


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